エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

2011

月曜日のナイターゲーム

昨日,橿原陸上競技場で奈良クラブ対ホンダロックの試合が行われました。

JFLには珍しい月曜日のナイターゲームです。

今季の奈良クラブはJ3昇格のために順位だけでなく観客動員2000人を目指しています。

これまでは2000人を超えることはできず,チームもホーム戦で良好な結果を出せずにいました。

スポーツの勝敗に絶対はありませんから結果はやむを得ませんが,昨年のいわきFCのような「昇格するチームの勢い」はまだありません。

関係者だけでなくサポーターや観客は「今年も無理なのか?」というモヤモヤとする気分を味わっていました。

奈良クラブの選手配置

しかし,昨年と比べてもチームのゲーム内容は向上しており,意図的な前進や粘り強い守備は観ていて実感できます。

JFLの他チームは,だいたい選手の配置を1-4-2-3-1か1-4-4-2にして,守備時のコンパクトさや攻撃時の選手間の距離を近くにしています。

↑ 1-4-2-3-1

↑ 1-4-4-2

長いリーグ戦を戦う上で,ゾーンでの守備を安定させ,近い選手でレイオフを生かしながらサイドチェンジをする戦い方は,実用的かつ効果的だと思います。

しかし,奈良クラブは1-4-3-3を採用しています。

↑ 1-4-3-3

この配置は,攻撃時にグランドを広く使うことができ,トライアングルが形成しやすいというメリットがあります。

しかし,選手間が広がっているがゆえに守備時になるとコンパクトになるには時間がかかるため,ネガティブトランジションの速さが生命線になります。

奈良クラブは状況に合わせて1-4-4-2で守備ブロックを形成することもありますが,高い位置でのネガティブトランジションでボールを奪いきり,ショートカウンターを仕掛けたいところです。

奈良クラブは,スペインのバルセロナにあるサッカーサービス社の「エコノメッソド」を導入し,育成クラブとして他チームとの差別化を図っています。

http://soccerservices.jp/

アカデミーのU13以上は基本的に同じ配置です。

ということは数年後にはアカデミーで1-4-3-3を染み込ませた選手たちがトップに上がってくることを意味します。

考える前に体が自然と反応する

そんな選手たちの集団が数年後の奈良クラブです。

ちなみに今年のプレミアリーグを制したマンチェスターシティーやチャンピオンズリーグ決勝まで残ったレアルマドリード,リバプールもこの1-4-3-3を採用しています。

FCバルセロナは当然です。

つまり現在の世界のトップクラブと奈良クラブは同じ方向性なのです。

1-4-3-3の特性

これだけでも十分ワクワクすると思いますが,さらに1-4-3-3の良さは自分たちがゲームの主導権を握りやすい配置なのです。

なぜかというと5つのレーンに人が配置されているからです。

よってライン間とハーフスペースがすでに配置の段階から使えます。

攻撃時にゴールキーパーを生かしながら,丁寧に前進していくことに適しており,数的優位が起きている有効なスペースを見つけながらゴールを目指します。

ただし選手全員の確かな戦術理解と試合に生きる技術によって成り立ちます。

だからアカデミーから丁寧に育成していくことが大事になります。

チャビやイニエスタ,メッシ,ブスケツ,ピケ,ガビ,フォーデン,アーノルド,等々。

トップトップの選手たちは丁寧な育成によってよりスーパーになった選手です。

もしかしたら奈良クラブのアカデミーからそんな選手が出てくるかもしれません。

ただし,この配置は広がっているがゆえに「個の質」が重要になります。

トライアングルはたくさんできているのですが、サポートの距離が1-4-4-2に比べると少し遠くなります。

トップチームもゲーム展開によっては孤立しがちになるのには理由があるのです。

例えばボランチは一人なのでマンマークされるとビルドアップ時に困難になる場合があります。

ではどのように解決するのか。

絶対条件はマンマークされても恐れずに受けることが出来る個の質が必要です。

FCバルセロナのブスケツやマンチェスターシティーのロドリなどは低い位置でボールを受けることをものともしません。

当然,様々な解決策はあるのですが,受けることをビビってしまっては一人のボランチは成立しないのです。

また,ウイングは1対1になりやすいです。

ここで縦に仕掛けたり,中にカットインしたり,様々な実行の技術で優位に立てないとせっかく1対1にした価値がありません。

メッシやネイマール,ムバッペ,デンベレ,ヴィニシウス,サラ―,フォーデン,どの選手も個の質で勝っています。

当然才能もあるのですが,アカデミー時代から徹底的に学んでいる子どもたちは,個の質の重要性を理解して育ちます。

2011

さてさてサッカーオタクのうんちく話はひとまず終わりにして,昨日の観客動員数はなんと2011人でした。

絶え間なく入場する観客。

ツイッターから引用させていただきます。

できるだけ興奮を伝えたいのですみません。

急遽バックスタンドの開放。

入場者数の発表に起きたどよめき。

フリアン監督へのバースデーセレモニー。

あたたかい拍手。

全てが「奈良物語」の始まりのように感じました。

当然,一過性ではいけませんが,奈良クラブがどんな育成をしているのかを知っていただければ,焦ることはまったく無いと思います。

確実に数年後には,大切に育てた選手たちが攻守にわたって試合を支配している様子を,ビール片手に,我が子を見守る気持ちで観戦できるはずです。

2011という数字はこれだけではただの数字ですが,奈良クラブに関わる全ての人には一生忘れることのできない数字です。

パスコードにしても良いですが気をつけましょう。

奈良クラブファミリーだとバレバレです(^_-)-☆