エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
ちょっといい学校話

学校水泳物語

2年ぶりの学校水泳

今年は感染症対策をしながら学校水泳が行われます。

2年前にコロナ過になり,学校水泳が出来なくなりました。

水泳が苦手な子どもからしたらラッキーかもしれませんが,夏休み前の学校は今でこそエアコン完備ですが,エアコンが無かった頃はそれはそれは暑い場所でした。

汗がしたたり落ちてノートがふやけたりもしました。

だから水泳は格好の涼みでした。

プールの管理

この時期になると学校水泳用の特別日課になるので,いよいよ夏休みが近づいてくる気分にもなり,子どもたちは落ち着きがなくなってきます。

それでも,学校は水の事故が起きないように細心の注意を払い,機械のチェックや水質の管理,プールの安全確認を行います。

特にアレルギーがある子どものためにプールの水質には気を配りつつ,藻をはやさないために塩素濃度にも気をつけます。

昔は液体の次亜塩素酸ナトリウムをボトルに投入しなければいけなかったりもしたので,それはそれは大変でした。

私は買ったばかりのパンツに次亜塩素酸が飛んでしまい,あっという間に無駄にしたことがあります。

それでも緑の藻がフワフワと浮き出したら,自らがプールに入って拡散したものです。

まあ,子どもたちはそんな先生の苦労は知る必要もありませんが,それだけの労力を費やして学校水泳は実施されているのです。

学校水泳物語

さてさて,私の懐かしい思い出として2つ紹介します。

その1「プール掃除の巻」

かなり山奥の小学校に勤務した時の経験です。

そこはまだ山水を飲み水として使っている民家が残るような学校でした。

プールは校舎の西側にあるのですが,学校のまわりは鬱蒼とした森が茂っていました。

だから1年間放置されていたプールにはそれはそれはいろんなものが落ちています。

特に多いのが木の枝です。

ついで枯葉やどこからともなく飛んできたゴミなどです。

まずはこれをせっせと片付けます。

プールには防火用に水をためておくのですが,そこは1年かけて様々な生き物の楽園となっています。

一番多い生き物がオタマジャクシで,次いでヤゴです。

おそらく顕微鏡で見れば教科書に出てくるような微生物がたくさんいるはずです。

残念ではありますが,このままだと到底水泳はできないので,この生き物たちは別の場所に引越ししていただくことになります。

だいたいどこの学校も高学年がプール掃除を担当すると思いますが,みんなで悲鳴を上げながらこれらの生き物をバケツやチリトリですくって,近くの用水路に流します。

その後はヘドロとの戦いです。

なかなかの悪臭を漂わせてくれるので,デッキブラシやワイパーを使いながら排水溝へと流し込んだり,バケツですくったりします。

こうやって何とかこうとかプール掃除をするのですが,子どもたちは悲鳴を上げつつも,暑さでうんざりしているので,全身ずぶぬれになって楽しく掃除をしてくれます。

子どもは磨いてつるつるになった床でこけたりするので,先生はかなりけがの心配をしなければいけませんが,子どもたちはそんな心配などお構いなしで,初夏の始まりを満喫します。

でも,この学校は本当に山奥なんです。

するとある生き物がかならず訪問してくれます。

それは「猿」です。

意気揚々と金網の上を歩き,プールで水浴びをしてくれます。

この学校は学級園も彼らの被害に合い,イタチごっこのような状態になります。

野生の猿は危険なので近づくことが出来ませんから,花火のようなもので音を出して,追い払うのですが,まあ彼らは賢い賢い。

自分たちにとってそれほど危険ではないと知っていますから,いったん退散するぐらいです。

子どもたちが入っているときに来なかったらいいのですが,高いところからのんびりと眺めてくれるから困ったものです。

その2「プールが無い学校の巻」

プールが無い小学校に勤めた時の経験です。

そこは海沿いの学校でした。

市内には離島もあり,昔ながらに海で水泳をしているような地域でした。

その学校の校区内には市営のプールがありました。

だから学校水泳はそのプールで行われていました。

子どもたちはそれなりの時間をかけて歩いていき40分ほどの体育で水泳をします。

市営ですのでプール掃除はありませんが,他校との調整があったり,一般客と一緒であったりします。

往復で歩く時間を考えると時間割は完全に特別日課にしないといけません。

ということは,子どもたちはこの時期になると「夏休み前のお祭りのような日課」になるわけです。

校外に出るだけでも楽しいんですから,暑い中,教室で授業を受けることと比べたらまるで天国です。

子どもたちは汗をぽたぽたとかきながらも笑顔で市民プールまで歩きます。

ようやく到着したら,すぐに市の係の人に挨拶をして,更衣室に飛び込みます。

着替え終わったら,他校や一般客に迷惑をかけないようにプールサイドに集まり,水泳の授業の始まりです。

このプールの醍醐味は50mのプールです。

だいたい小学校にあるプールは25mがほとんどですので,学年の人数によっては混雑します。

でも,このプールにはそんなことは必要ありません。

抜群の解放感とリゾート感です。

泳ぎの得意な子は50mをすいすいと泳げます。

高学年になればある程度の習熟度分けをしますので,苦手な子のグループも広々とプールを使えるので安心です。

そしてお待ちかねの自由時間です。

このプールは大きな公園の中にあるので大きな声を出しても近所迷惑になることもありません。

ついでに市民プールなので簡単な滑り台もついています。

子どもたちは初夏の太陽を浴びて,真っ黒に日焼けしながら,水泳を楽しむことが出来るのです。

ただし,午前中に水泳の授業があった場合は,それなりの距離を歩いて学校に戻るので,途中にお腹が空いてへこたれる子がいたり,午後の授業がお昼寝の時間になったりします。

お腹が空いているのでいつもより給食を食べるから,いつもより気持ちよく寝れるわけです(^^)

まとめ

日本中の学校でさまざまな学校水泳物語があると思います。

先生たちもかなりの体力勝負ですが,子どもたちにとってはとても幸せな時間です。

大人になって振り返った時に,きっとこの頃のことを眩しく思い出すでしょうね。

全国の子どもたちが感染症に気をつけながら安全に楽しく学校水泳を満喫してくれることを願います。

先生方も気持ちをふりしぼってがんばってください(‘◇’)ゞ