エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

日本でスペインを感じる

先日はご縁があってスペインで指導者をされている方にお話を聞かせていただきました。

奈良クラブのアカデミーの指導に関心を持っていただいたので練習を参観されました。

といっても私と二人で観ていただけです。

私はスペインの育成やサッカー事情などを独り占めできたわけですからかなり得をしました。

今回は感じたことを綴ります。

奈良クラブのトレーニング内容について

奈良クラブのトレーニング内容はスペインではよく見られるシンプルなトレーニングだと言うことでした。

これは私にとっては素晴らしいことです。

このようなトレーニングが日常的に行われるチームは日本では少ないのではないかとおっしゃっていました。

確かにあくまで私が知っている範囲だと日本のトレーニングは以下のようになることが多いと思います。

①コーディネーション系のアップ

②パス&コントロール,コーンドリブルなどの個人スキルを上げるトレーニング

③ロンド(鳥かご)や3対2や4対3などのグループトレーニング

④攻撃方向があるオレアーダ系のトレーニング

⑤ゲーム

⑥その他(シュート練習やフィジカル系トレーニング)

特に②のトレーニングに使う時間が長くて,たくさんボールに触らせる傾向があるのではないでしょうか。

それが悪いという話ではありません。

奈良クラブでトレーニングしていれば、スペインでトレーニングしているのと同じだということが言いたいのです。

スペイン留学しなくてもスペインのトレーニングができる奈良クラブ。

スペインサッカーを望むならこんなに有りがたいことはないのではないでしょうか。

個人スキルについて

この日の奈良クラブユースではコーディネーション系のアップをしたあと、コンセプトのあるポゼッション、左右への循環後に前進してフィニッシュするトレーニング、最後にゲームという内容でした。

先ほどの②がありません。

その事について伺うと、スペインでも個人スキルを高めることに限定したトレーニングをチームトレーニングの中にはほぼ入れないということでした。

では、どうやってイニエスタ選手はあのようなドリブルを身に付けたのか疑問になります。

そのことを伺うと、まずは才能とストリートサッカー、ちょっとだけ個人トレーニング、ほとんどはチームトレーニングで身に付けたらしいのです。

同じトレーニングをしても人によって解決策がパスなのかドリブルなのかでも違うし、なにより「サッカーはサッカーをして上手くなる」という考え方が当たり前なんだそうです。

ポゼッショントレーニングをしていても状況によってはドリブルが必要であり、その状況で磨かれたドリブルは試合で活きるドリブル。

例えばイニエスタ選手は狭いエリアをスルスルと抜けていくドリブルが出来る。

あれはポゼッショントレーニングの中で狭いエリアをドリブルで抜け出してきたからじゃないかと。

私は目から鱗でした。

今までずっとエコノメソッドのトレーニングを観てきた疑問が解決した気分です。

このことを長男に話したら興奮していました。

ボールを奪うことについて

奈良クラブやエコノメソッドのトレーニングでは,フリーマンをつけることで攻撃側が数的有利にして,トレーニングのコンセプトを学ぶことが多いです。

すると攻撃側が有利になりすぎて強度が上がらない(楽すぎる)という問題が起きます。

実際の試合では数的同数なので焦ってしまう。

そのことについて伺うと、奈良クラブユースの中にもアグレッシブなディフェンスをする子を見つけて褒めつつ、ボールを奪うことについて話してくれました。

スペインではボールを奪う最終手段はファールすることもある。

当然相手を傷付けるようなファールは許されないが、ボールを奪わないと攻撃できないこと当たり前のように理解している。

だから数的不利の守備側は早く攻撃をしたいからファール覚悟でボールを奪いにいくので、結果的に攻撃側の強度も下がらないということです。

実際の試合でも攻撃側は数的優位を見つけ出して攻撃しようとし,守備側は数的優位を作らせないように守備をします。

つまり日本とスペインではそもそもの考え方が違うのです。

例えば「正々堂々」の考え方も日本とスペインでは違うと思います。

極端に言えば以下の通りかなと思います。

日本=勝利のためにずるいことをしてはいけない

スペイン=ルール内なら何でもできる

もし,日本でスペインサッカーを学びたいのであれば、まずはルールを理解し,最終的にはファールも辞さないぐらいの覚悟で守備をすることです。

まとめ

まだまだ綴りたいことはあるのですが今回はこれぐらいにします。

最後にスペイン語の習得について伺いました。

当たり前に話せるようになるには2~3年かかったそうです。

しかし、間違いを恐れずに単語を並べてでもコミュニケーションをとることが大切で、イメージは話しはじめの赤ちゃんと同じだそうです。

とにかく伝えようとすること。

そう考えると関西人は語学習得には強いらしく、自分のノリに持っていくのは語学力向上の秘訣らしいです。

サッカーも語学も積極的なコミュニケーションが大切ですね。