エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
ぶらっと寄り道話

進化する勇気

奈良クラブJFL優勝

先日のソニー仙台戦と他会場のFC大阪,HONDA FCの試合結果で奈良クラブのJFL優勝が決まりました。

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FC大阪とは勝ち点は並びましたが,得失点差で奈良クラブが上回りました。

奈良クラブの得点数は48で失点数は25,FC大阪は得点数が47で失点数が34です。

このことからも年間を通したリーグ戦では失点を減らすことの重要性が分かります。

だからと言って守備的な試合をするということではありません。

奈良クラブはFC大阪よりも得点数が多いです。

ということは奈良クラブは勝ち点3を獲得するために得点を奪いにいきながら失点を減らすためのリスク管理が出来ているということになるのです。

ではどのようにしていたのでしょうか。

確かな戦術の存在

奈良クラブは選手を1-4-3-3の配置にしてグランドを広く使いながら攻撃し,奪われたりミスが起きた地点から全力でボールを奪い返すためのネガティブトランジションを仕掛けていたのです。

グランドを広く使うということは一人ひとりのスペースが広くなるということです。

質的な優位が使いやすくなるだけでなく,相手のディフェンスを分散することにもつながります。

しかし,一人ひとりのスペースが広いということはミスが起きてボールを奪われると,今度は逆に相手に有利になってしまいます。

だからすぐにボールを奪い返しに行くことが生命線なのです。

特に攻撃を仕掛けているMFとFWの6人には豊富な運動量が求められていました。

相手コートでのネガティブトランジションが成功すれば一気にショートカウンターに持ち込み,自分達のコートならGKまでボールを下げてビルドアップをします。

ただしネガティブトランジションが失敗することもあります。

奈良クラブがショートカウンターを受けた場合,DFは中央を固めてブロックして対応します。

DFは相手の攻撃を遅らせながらMFやFWのリトリートを粘り強く待ちます。

特に自分たちのゴール前(ディフェンシブサード)での体を張った粘り強い守備は毎試合の恒例のようになっていて,相手チームにとっては何とも嫌らしい守備だったと思います。

アタッキングサードとバイタルエリア|サッカーの箱

MFやFWの選手たちは体力的にかなりきつかったと思いますが,守備戦術が明確なのでやり続けることが出来たと思います。

選手への丁寧なマネジメント

サッカーは人が行うので人的要因の影響を受けるスポーツです。

今年の奈良クラブは,スタメン変更,選手交代,累積警告,感情の変化,など様々な人的要因があるときでも安定した結果を出し続けることができました。

それはエコノメソッドが日々のトレーニングで選手に確かな戦術を習熟させていくだけでなく,選手のモチベーションを維持するために積極的なローテーションを断行していった成果だと思います。

選手は試合に出てこそ選手です。

試合勘は試合でしか育ちません。

特に若手の選手は顕著です。

クラブにとっては結果が欲しい重要な試合であっても,年間のサイクルの中で様々な選手を起用していきました。

このように選手への丁寧なマネジメントが優勝という結果につながったことは間違いありません。

進化する奈良クラブの勇気

エコノメソッドを導入して2年で「J3入会」と「JFL優勝」という成果は,決して偶然ではなく必然だと思います。

何度も綴ってきましたがエコノメソッドは間違いなく確かなものなのです。

経済的な負担はあるにしろ,現実的な対処を行うのではなく,本物のエコノメソッドの導入を決断したクラブの勇気が何より素晴らしいのです。

サッカークラブにはそれぞれの哲学があるので,他の考えを受け入れにくくなりがちです。

でも奈良は違いました。

100年続くクラブにしていくために確かなものを受け入れる道を選んだのです。

私はこれを進化だと思っています。

これまでのクラブが別ものに変わるわるのではなく,外部の力を受け入れながらクラブを進化させていくことで,時代に合わせて柔軟に対応してクラブを継続させていくのです。

「確かなものを受け入れる勇気」と「確かなものを信じ続ける勇気」が奈良クラブにはあったのです。

エコノメソッドと奈良の未来

エコノメソッドは5年計画です。

ということはあと3年が残っています。

J3に入会した奈良クラブは,来年の1月からは専用グランドでトレーニングが行われるようになります。

アカデミーのトレーニングの質も向上します。

私はエコノメソッドが導入されている間にはJ2に昇格していると思っています。

Jリーグとは? | ジュンヤの遠吠え

奈良クラブがJ2です。

その次はJ1です。

奈良県にJ1チームが誕生する日もそう遠くないのです。

ワクワクしませんか?