エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
(仮の題名)「サッカーが大好きな国でプレーするまでの話」

バルセロナキャンプに挑戦

バルセロナキャンプに挑戦

久保建英選手は日本で行われたバルセロナキャンプでMVPを獲得しています。MVPの特典はFCバルセロナのアカデミー練習参加です。FCバルセロナでプレーしたいと考えていた久保選手はこのキャンプに照準を合わせて準備をしていました。バルセロナのコーチに評価してもらえる選手の特徴ついて分析し、そのための練習をしてきていました。その結果、見事にMVPを獲得したわけですから実力もさることながら見事な戦略でした。

私は「おれ、バルサに入る!」を愛読していましたので、どのような練習をすれば評価されやすいのかを理解していましたし、自分なりにも知識を貯めていたので、それを長男に落とし込んでいきました。

長男はWOWOWで放送されるラ・リーガの試合を楽しみにしていました。その中でも1番のクラブはFCバルセロナです。長男は今でも「俺はクレの中のクレ」と自負しています。長男がFCバルセロナに興味を持ったのはクラブワールドカップでFCバルセロナ対サントスの試合を観てからでした。大人でも興奮した試合です。子どもにとってあの試合はキラキラとまぶしいものだったのでしょう。長男の目標は必然的にFCバルセロナでプレーすることになりましたし、私がその目標を達成するために手助けすることも必然でした。

小学2年生の冬、私なりに満を持して長男は大阪で開催されたFCバルセロナキャンプに挑戦しました。初日は大雪に見舞われて、会場のJ-GREEN堺までたどり着けないというハプニングから始まりました。

初日は堺市にあるコンフォートホテルに宿泊しました。コンフォートホテルとの長い付き合いの始まりです。このホテルの素晴らしさは朝食が無料でハイパフォーマンスなところです。この機会から私達はすっかりこのホテルにはまってしまいました。

バルセロナキャンプは専用のキットがもらえます。長男は憧れのエンブレム入りのウェアに大興奮です。私もまるで息子がFCバルセロナの選手になった気持ちになりました。

しかし、キャンプが始まると私達が思っていたような展開にはなりませんでした。参加した子ども達のレベル差もありましたが、ある程度の技術を持っている子どもほどゴールキーパーやセンターバックにコーチから指名され、ビルドアップのスタート役を任されました。学ばせたいプレー原則を一つのトレーニングで出させるための手段としては分かるのですが、MVPになるためのアピールが出来ません。ようやくフリーマンになれても、あっという間にトレーニングは終わってしまいます。何とかアピールしようと強引に前進しようとすると、コーチからは「カミカゼ」と言われてしまいます。さすがに二年生の長男もどうしていいのか分からなくなってしまいました。

私はグランド横にイスを置いて、トレーニングメニューをノートに全て記録していました。長男にフィードバックするためとボランティアコーチ業に活用するためです。すると長男を担当していたスペイン人コーチから声をかけられました。

「何を書いているんだい?」

とスペイン語で聞かれたので、

「キャンプのトレーニングメニューです。」

と私は通訳を通して答えました。彼は、

「なるほど。何か質問はあるかな?」

と尋ねてきたので、

「メモをして思ったのですが、このトレーニング内容は小学校2年生には難しすぎるんじゃないですか?」

と私は率直な疑問を投げかけました。すると彼は、

「これがバルサなんだ。」

とあっさり答えました。私は心の中で「確かに。」と妙に納得してしまいました。私は長男が良い評価を得ることしか考えていなかったのです。しかしここはFCバルセロナのキャンプです。このキャンプのコーチに認められることが良い評価です。このトレーニング内容の中でも良い選手は良い選手として光るとするなら、久保建英選手はよっぽど光っていたのです。後に濵田さんから久保選手のことを聞きました。久保選手は自己主張が強く、プレー以外でも際立っていたそうです。私は今の長男では無理だと痛感しました。

私たちの初めての挑戦は苦いものになりました。それでも初めて見たFCバルセロナキャンプは夢のような世界でしたし、コンセプトが明確で緻密なトレーニング内容、スペイン人コーチがスペイン語で話し、通訳が日本語で説明する二度手間の面倒くささ等、新しい刺激を親子でたくさん浴びることが出来ました。今回は思い描いた結果にはなりませんでしたが、私たちが目指しているスペインが少し見えたこと、間違いなく長男が通用していたことを確認できたことは成果でした。

実は今回のキャンプの費用は通いプランで約10万円程でした。私達には決して安い金額ではありませんでした。長男の実力とキャンプの現実を理解したうえで、私達はひとまずキャンプは控えることにしました。

 

次回は「キャプテン翼を目指して」です。