エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
(仮の題名)「サッカーが大好きな国でプレーするまでの話」

県大会4位が限界

県大会4位が限界

三重県には小学校5年生の冬に3ピリオド制の県大会がありました。この大会は東海大会や全国大会にもつながります。3ピリオド制は選手の出場時間を確保するという意味では素晴らしい制度なのですが、それなりのレベルの選手を確保しないと勝てないという裏の顔も持っていました。

長男のクラブはセレクションをしていない、いわゆる普通のサッカー好き小学生の集団です。日々のトレーニングも勝利優先の内容ではありません。この大会には1チームで16名以上の選手登録が必要なので3年生まで借り出すことになりました。それも試合に必ず出場しなければいけません。

私はメインコーチとしてこの大会を担当しました。そこで私がとった選手起用方法は均等割りした2チームを1ピリオド、2ピリオドに分け、3ピリオドに5年生中心のチームにするというものでした。全国大会につながる大会なので当然勝ちたいのですが、育成年代はサッカーを学ぶことが最優先ですし、「全員攻撃・全員守備」と掲げているチームの哲学を大切にしたいからです。

結果、チームは小学校4年生の時の県5位を上回る県4位を獲得できました。チーム戦術はこれまで通りで、ゴールキーパーから丁寧にビルドアップし、ゴールを目指していきました。どの試合もなかなか得点は奪えませんでしたが、それでも5年生を中心に4年生と3年生をサポートしながら、粘り強く勝ち上がっていきました。決勝には行けませんでしたが「全員攻撃・全員守備」をみんなでやり切れた大会になりましたし、5年生は悔しいでしょうが4年生と3年生にとっては良い経験を積むことが出来ました。

しかし、このままの戦術で県大会を優勝することの困難さも痛感しました。多くのチームがリスクを回避してフィジカルに任せたハイプレスやダイレクトプレーの戦術に採用していました。負けたら終了の大会でその戦術は理解できます。長男のチームは人数的に厳しく、3年生が5年生とマッチアップするだけでも苦しいのに、ハイプレスやダイレクトプレーを使われるとしのぎ切れませんでした。スペインのジュニア期が深い位置にオフサイドラインを設定している理由がまさにこれです。その結果、日本ではハイプレスやダイレクトプレーで勝つサッカーを学びますが、スペインでは中盤のスペースを有効に使うサッカーを学ぶことなります。こうして育成年代を終えたときに、サッカー選手としての質の差が広がることになるのでした。

 

次回は「3度目のスペイン遠征」です。