エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
(仮の題名)「サッカーが大好きな国でプレーするまでの話」

プリンスリーグ昇格戦で見せた意地

プリンスリーグ昇格戦で見せた意地

ついにユース年代最後の試合の日を迎えました。先週,ガンバ大阪ユースがプレミア昇格を決めました。昔の仲間の歓喜に自分を重ねました。

しかし運が悪いことに家のガスコンロが不調で,いつも通りの調理ができません。焦る私。落ち込む私。長男にいつも通りの朝を届けてあげられませんでした。

それでも長男はぶれることなく朝の時間を過ごしました。会場のJ-GREEN堺まで車中で休み,着いた時にすっと起きてきました。

プリンス昇格戦は土曜日と日曜日の2連戦です。2連勝しないと昇格できません。負けたら1年分の結果が無になるというストレスはとてつもなく高く,これは経験した者にしかわからない感情です。私は社会人リーグで何度も経験しました。土曜日に4回負け,日曜日に1回負け,6回目でようやく昇格できました。だから,昇格戦の難しさはよく分かっているつもりです。

奈良クラブユースの初戦は興国高校Bでした。奇しくも内野さんが2年間教えていた選手達であり,関西1部に所属しているAチームが全国高校選手権ですでに敗退しているので,このBチームに登録上は出場できるという状況でした。そして内野さんの戦い方を熟知しています。内野さんが最もやりにくい相手でもありました。

長男は左ウイングでスタメン出場しました。会場は昇格戦と言うこともあり独特な雰囲気でした。長男はいつも通り楽しそうにピッチに出ていきました。

試合が開始しました。当然,奈良クラブユースのビルドアップは狙われます。開始早々はシンプルにダイレクトプレーを増やしていきました。ボールを相手コートに押し込み,アグレッシブなプレッシングからショートカウンターを仕掛けていきます。何度か惜しいチャンスを作りました。しかし,徐々に不安通りの展開になっていきました。相手は長男を孤立させようとボールを右側に誘導していきます。長男には2人がマークするので,ボール保持者が長男にボールを入れることを溜めらい,結果としてボールは右側へと寄っていきました。前半はどちらにとって狙い通りなのかは明白な展開となりました。

そして,恐れていたことが現実になりました。センターバックがパスコースを探して不用意に出した横パスが狙われました。そこから一気にショートカウンターになり失点。続けてセンターバックがはね返したボールを拾われて,前に出ていたゴールキーパーの頭を越えたロングシュートで2失点目。とどめは完全に押し込まれて3失点目。後半残り時間を考えると致命的な得点差となりました。

覚悟を決めて長男をFWに出した奈良クラブユース。ここからは魂の戦いです。FKのセカンドボールに反応した長男が得点。これで1対3です。すぐさまボールを拾って戻る長男。

続けて右サイドバックからのセンタリングを胸でコントロールした長男は,寄せてきた相手をかわそうとボールをずらしました。そのボールが相手の腕に当たりハンドの判定。PKを獲得しました。長男は迷いなくボールをペナルティースポットに置きました。いつも通り変化を付けた助走で相手ゴールキーパーのタイミングを外し,余裕でゴールを奪ってみせました。これで2対3です。同点への望みが繋がりました。

いよいよアディショナルタイムです。試合の流れは奈良クラブユースです。長男をFWに出したことで,相手ゴール前にターゲットが生まれ,チームは自信を取り戻していました。そして,左から右とボールを動かし、相手のマークを外しすことに成功した奈良クラブユース。ペナルティーエリア内で完全にフリーの選手にパスが通りました。狙いすました渾身のシュートです。しかし…。相手ゴールキーパーはセオリー通りにスライドしておらず,「なぜそこにいる」と言いたくなる場所でのセービングで,同点ゴールは叶いませんでした。

試合は終わりました。長男のユース年代は終了しました。奈良クラブユースに加入した時に設定した「プリンス昇格」は叶いませんでした。気持ち良く終われる者もいれば,そうでない者もいます。それが長男が生きる勝負の世界です。「いつも俺って思い通りにいかないな。」と悔しがる長男。サッカーはチームスポーツです。一人では出来ません。全員の気持ちが一つの目的に向かうことは,言葉以上に難しいです。さらには自分達の願いを妨害する相手もいます。ユース年代最後の試合で勝負の厳しさ,人生の難しさ,何より世界中の人々がサッカーに歓喜する理由を実感しました。

長男のサッカー人生は続きます。この経験を未来に繋げることでしか報われることはありません。

「望む未来のために今を生きる。」

分かっています。奈良で過ごした3年間を思うと今日だけはそんなことを考える気持ちにはなれませんでした。

 

次回は「サッカー小僧の目標になる」です。