エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

芝生には夢がある

日本のサッカーはどうしても部活の影響が大きいと思います。

人工芝のグランドでプレーできる部活が少しずつ増えてきましたが,それでもまだまだ少数です。

大多数は土のグランドです。

それが日本のグランドのメジャーだからです。

でもよく考えてみてください。

なぜ全国レベルの試合は芝生のグランドで行われるのでしょうか。

それは「サッカーが芝生のスポーツ」だからです。

「水泳は水の中で行うスポーツ」と同じレベルだと思います。

根本的な考え方を変えないといけません。

私が三重県社会人1部リーグの運営を担当していた時のことです。

私は運営会議で1部リーグに所属している各社会人チームに提案をしました。

「三重県1部リーグは三重県のトップリーグなので目標になるように芝生のグランドの確保を目指しましょう。」

ホーム&アウェー方式ではなく当番チーム制でしたので,私たちは進んで伊勢市フットボールビレッジを1部リーグの日程に合わせて押さえました。

他のチームも了承していただき,あくまでできるだけの範囲で芝のグランを押さえました。

結果,どうなったか。

試合の質が上がったのです。

当然です。

土のグランドだと不規則に跳ねるためにボールから目を離すことが難しくなります。

リーグ戦は昇格と降格があるので事故を恐れるがゆえにリスク回避のサッカーになりがちです。

よりフィジカル重視になりますし,スペースと時間の考え方より,相手を破壊していくサッカーに寄っていきます。

県のトップリーグが芝生になれば目標にもなりますし,2部リーグや3部リーグの意識も変わります。

私はさらに東海リーグで使われる試合球を各チームに希望数だけ買ってもらい,それを試合球に使うことで,東海リーグに出来るだけ近い状態での運営に心がけました。

各チームの理解はとても有難かったですが,グランドやボールで試合の質を上げる工夫をすれば,必然的にリーグの質が上がるのです。

長男は奈良県3部リーグU18の全日程を終えました。

ほぼ土のグランドでした。

土砂降りの中での泥んこサッカーが何度もありました。

昇格がかかっていますからリスク回避のサッカーがたくさんありました。

仕方がないとは思います。

でも,たとえ土のグランドであってもスペースと時間を意識した試合はできると思います。

なぜそうならないのか?

原因は主に2つです。

① 「サッカーが芝生のスポーツ」であることが全員の共通認識になっていないことと。

② 育成年代にもかかわらず勝利至上主義が当たり前になっていること。

相手がリスク回避かつ事故誘発のプレーをすれば,自分たちもそれに対して同じように応戦しないと昇格する可能性が下がってしまいます。

結果,サッカーの質が下がってしまうのです。

それも下位リーグほど確保できるグランドが自分たちの部活のグランドになるので,よりその傾向が強くなります。

すると,サッカーが面白くなくなる。

まさに悪循環です。

現在の日本にあるグランドの状態を考えれば,厳しいことはよくわかっています。

部活がたくさんの子どものスポーツをする機会を創出していることも分かります。

でも芝のグランドの使用を子ども優先にすることで多少の改善はできるのではないでしょうか。

子どもの頃に芝生で気持ち良くサッカーをしなかったら,生涯スポーツとしてサッカーを続けたいとは思わないのではないでしょうか。

今年はずっとそんなことを考えてきました。

プレイヤーズファーストとは,「選手がサッカーを楽しむ環境を創ること」も含むと思います。

私は過去に伊勢フットボールビレッ建設に少しだけ関わりました。

現在の伊勢フットボールビレッジはフルピッチ人工芝が4面、天然芝1面あります。

休日やナイターで老若男女がサッカーを楽しんでいます。

多少の悪天候でも高い質でサッカーが出来ています。

あんなきれいなグランドでプレーをして,サッカーが嫌いになる人が出るでしょうか?

芝生のグランドには夢があるのです。