エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

高校サッカーは高校の部活動

今回はあくまで元教師の持論です。

誰かを否定したいわけではありませんのでご理解ください。

 

いよいよ明日は全国高校サッカー選手権の決勝が行われます。

残った2チームは最後まで負けなかった高校の部活と最後に負けた部活に分かれます。

勝つか負けるかの勝負を競っている大会なので残酷ですが仕方がありません。

でもよーく考えてみてください。

都道府県のレギュレーションがどうなっているのかは分かりませんが,ずっとトーナメントを戦ってきたとすると,優勝した1チームを残して残りの全てのチームは1回負けた者同士です。

地方大会の初戦で負けても,全国大会の決勝で負けても1回だけしか負けていないのです。

たった1回の負けしか経験できないのがこの大会なのです。

負けることも勉強。

そんなことを言えるような心の余裕はありません。

1回負けたら終わりなんですから,負けないサッカーに終始するのは当然なのです。

決して子ども達のせいでもなく,指導者いや先生のせいでもなく,大会の決まりがそうなんですから,勝ち残ることを目標にしていれば,選ぶ戦術は「堅守速攻」が必然です。

そんななかでもおそらく負けた部活の中には,自分たちが握る戦術を選んだ部活もあったでしょう。

その戦術はかなりハイリスクですが,サッカーというスポーツを生涯スポーツととらえたなら,かなり教育的に価値が高い戦術と言えます。

なぜなら負けから学べるからです。

負けることを恐れていないならば,ベンチメンバーをフルに出場させられるでしょうし,GKを使ってビルドアップを試みるでしょう。

相手がハイプレスに来ても粘り強くボールを保持するでしょうし,失点しても諦めずにリスクを冒すでしょう。

 

学校の部活動は,その学校の教育目標を達成するために活動しています。

例えば,

「確かな学力と豊かな心を育む」

という教育目標ならどんなサッカーをすれば良いでしょうか。

確かな学力を育むためには,世界の最先端の戦術を取り入れたサッカーを実行するのもありでしょう。

豊かな心を育むためには,チームワークを大切にして全員攻撃全員守備を貫くのもありです。

つまり勝つことが最優先ではなく,勝利を目指す過程で子ども達の「心技体」を育てることが大切なのです。

そう考えたら,アンダー世代の日本代表とかJクラブ内定とエリートとか,まったく必要が無い情報だと分かります。

それはあくまで生徒の個人情報です。

それよりも生徒達の主体性や思考力,判断力,知識理解,道徳性,身体的な発達やコミュニケーション能力,健康面や栄養面の状態に目を向けるべきだと思います。

なぜなら試合は高校間の部活動の交流にすぎないからです。

全ては子どもの教育のため。

それだけなんです。

 

本日は高校女子サッカー部の全国大会決勝が行われました。

ある学校は交代無しだったそうです。

ベンチにいた生徒は決勝という舞台でプレーする経験が出来ませんでした。

スタンドにいた生徒は芝生を踏むことも出来ませんでした。

プレーしたくてその部活動に入ったのにです。

優勝という結果と引き換えに失ったものがあるとするなら,それはきっと部活動として育むべき学校教育の部分にあるのではないでしょうか。

 

ただし,これはあくまで私が考える一つの視点です。

きっと先生達と生徒達が十分に話し合い,大会に向けて教育的な価値を高めてきている部活動がほとんどだと思います。

だからきっと試合だけでは見えないところで生徒たちは育っています。

私はそう信じています。