エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

駆け出しボランティアコーチ

駆け出しコーチのスタート

長男が小学校1年の冬。

私はボランティアではありますがサッカーコーチ(選手兼任)として再びサッカーに関わることになりました。

当時の私はJFAの指導者ライセンスはキッズリーダーのみ所持していました。

これは選手時代にチーム全員で講習を受けて取得しました。

「指導現場に年間で200日は立っている。」

講師の方からとても熱心に指導していただいたことを覚えています。

駆け出しコーチの私は主に低学年の子どもたちを担当しました。

そこに長男と二男も在籍していました。

(パパコーチの難しさについては今回は割愛します。)

チーム哲学の浸透から

そもそも自分自身が小学校年代のサッカーチームに所属したことが無いので,どのような大会があるのかさえも分かっていませんでした。

とりあえず最初に取りかかったことは,チーム哲学(サッカースタイルに近い)を浸透させることでした。

全員攻撃全員守備

これがこのチーム哲学でした。

すぐに子どもたちに,

「このチームはどんなサッカーをするの?」

と尋ねました。

すると上記のように答えられる子はほとんどいませんでした。

残念でしたが,忘れがちなところだと思うので,まずここの部分を徹底的に浸透させていきました。

練習が始まる前に,子どもたちを集めて,

「(チーム名)のサッカーは?」

と聞きます。

子どもたちは

「全員攻撃全員守備」

と答えます。

これを練習のたびに繰り返していきました。

すると低学年の子どもほど暗号のようにすぐに覚えてしまいます。

第一段階クリアです。

続いて練習の合間にも同様の質問をしていきました。

子どもたちは必ず,

「全員攻撃全員守備」

と答えますので,今度は,

「今のプレーは全員攻撃だったかな?」

「今のプレーは全員守備だったかな?」

と投げかけました。

これまでは何となくサッカーをしていた子どもたちが,チームの一員としての自覚を持ち始め,チームが目指す哲学に自分のプレーが合っているのかを意識するようになりました。

明確になった成果と課題

攻撃状態のときに,

「ボール保持者はどうすれば全員攻撃なのか?」

「ボール保持者に対してどのような関わりをすれば全員攻撃なのか?」

守備状態のときに,

「ボールに近い選手と遠い選手ではどのような守備をすることが全員守備なのか?」

このように考えることが整理されただけで,

子どもたちの「判断」の成果と課題,「実行」の成果と課題が明確になりました。

低学年の子どもたちの評価

低学年の場合は発達段階的にボールへの執着が強く,勝ち負けにこだわり,チームでプレイすることがまだまだ未熟です。

だから私は攻撃状態のときは,

「ボール保持者はゴールを目指しているか」

「ボール保持者以外はボールを要求するサポートをどこでしているか」

を「判断」の部分で評価しました。

「実行」の部分では,

「ボール保持者はゴールを目指すためにドリブルしたり,パスをしたり,ボールをコントロールしたり,シュートしたりすること」

で評価しました。

守備状態のときは,

「ボール保持者に対して,いつどこで誰とどのようにプレスをしているのか」

を「判断」の評価にして,

「どのようにボールを奪ったのか。」

を「実行」の評価にしました。

サッカーで難しいのはボールを保持していないときの評価です。

攻撃状態では,できるだけ相手ゴール方向のサポートを意識付け,横や後方のサポートが必要な時はどんなときかを子どもたちに考えさせることで,子どもの成果と課題を評価しました。

守備状態では,最初は団子状態になっても構わないので,魚を網で囲い込むイメージでボールを奪いに行くことを子どもたちに促し,ボールを奪うことが出来ればゴールを守る必要はないということを理解させました。

キーワードでイメージする

ここで大切なことはキーワードで例えることです。

攻撃は「パー」

守備は「グー」

攻撃は広がり(前や斜め前方向),守備は何かをつかまえるように握って縮まる。

低学年の場合はキーワードのような言葉でイメージさせると,指導者が本体伝えたいことを定着させやすくなります。

子どもたちは「攻撃は?」と聞くと「パー」と答えて広がり,

「守備は?」と聞くと「グー」と答えてボールに集まるようになりました。

ちなみに

「今はパーかグ―かどっち?」

と聞けば,常に攻守の局面やトランジション状態も意識してプレイさせることもできます。

チーム哲学と実行の技術の関係

実行のトレーニングには色々とありますが,大切なことは「全員攻撃全員守備」が実行できる技術かどうかです。

私が指導している場所は個人戦術を伸ばすためのスクールではなく,サッカーチームのトレーニングだからです。

チームの哲学を第一に考えて,その中で個人戦術の価値をどのように高めていくのか。

低学年は勝負にこだわりますので,常にトレーニングのゴールを決めて,勝ち負けが明確になるようにしました。

当然,勝ったら嬉しいし,負けたら悔しいです。

それがサッカーというスポーツですので,勝つことにも負けることにも慣れなければいけません。

だから指導者は,「子どもたちが勝負を全力で楽しんだこと」を称賛していくことが大切だと思います。

それでは「勝つために必要な実行の技術」とは何でしょうか?

ドリブル?

パス?

コントロール?

シュート?

全てです。

私は,どれかに特化するでもなく,全ての技術がチーム哲学に合っているのかを確認しながら高めていくことが,結果としてチームの勝利に近づくと考えています。

サッカー沼に深く足を突っ込む

そんなわけで,私は駆け出しコーチをスタートさせました。

様々な書籍を読み漁り,自分なりに指導の知識を増やしていきました。

そもそも私はこだわりやすい性分です。

一度は沼にはまったらのめり込みます。

今では本屋か突っ込まれそうなぐらいで,家には200冊はくだらないほどの書籍の量になっています。

私はそれほどサッカーを深く知ることが楽しくて仕方なかったのです。

「これまでの自分がいかに感覚的にプレイしてきたのか。」

学びを深めるにつれて,過去の自分にサッカーを教えてあげたい気持ちになりました。

そんなわけで,コーチになってからのその後は,

徐々にチームの勝利や子どもの願い,

親の期待などに応えきれずに,

悩み苦しむようになっていくのですが,

この頃は指導者と言う新しい世界にワクワクし,仕事と選手復帰の3足のわらじ状態にもかかわらず,疲れ以上に毎日が充実していたのでした。