初の岐阜へ
初の全国の舞台を終え,チームは5度目の東海リーグ挑戦の舞台へと向かいます。
東海リーグの入替戦は東海4県(三重県・愛知県・岐阜県・静岡県)が会場を持ち回りしています。
これまでの挑戦で唯一経験してなかった県が岐阜県です。
会場は長良川球技場です。
東海リーグの入替戦は土日に行われます。
各県2チームが出場し,2つのブロックに分かれてトーナメントを行います。
各ブロックで優勝したチームが東海リーグ昇格となります。
初戦突破
チームはトーナメントならではの重苦しい試合にはなりましたが何とか初戦を突破します。
私も後半アディショナルタイムに出場する予定でしたが,ピッチサイドで交代準備をしていると試合終了となりました。
それはさておき,これで2年連続の決勝です。
チームは決勝に備えてホテルにもどり,思い思いにリラックスした時間を過ごします。
私はロビーでマッサージチェアをしたり,部屋でのんびりとしていました。
すると後輩からのお誘いで岐阜市内をランニングすることになりました。
その後輩は今でも人生話をするぐらいの付き合いで,激しいプレースタイルとは裏腹に心の優しい人生の夢追い人のような男です。
2人で10kmぐらいは走ったでしょうか。
夕暮れの岐阜の街はさすが城下町といった風情でした。
金華山の上に見える岐阜城から織田信長はいったい何を眺めていたのか?
そんなことも考えられるほど落ち着いた時間になりました。
明日はいよいよ決戦です。
一進一退の決勝
私はベンチ入りしました。
試合は一進一退です。
先制しましたが追いつかれ1対1のまま後半も中盤に差し掛かりました。
嫌な時間です。
しかし新加入の若々しくて技術の高い選手達を中心に恐れのないプレーを展開し,ついに再び突き放すゴールが生まれます。
得点したのは最初の入替戦も共に戦った選手でした。
のこり10数分で東海リーグ昇格です。
そんなとき,私が出場することになりました。
今だから言えますが,私はどこか夢の中にいるようなフワフワした気持ちでピッチに立ちました。
私は数分の間にファールを取られ,股抜きまでされました。
全くの役立たずです。
それでもチームは相手の最後の猛攻をしのぎ切りました。
勝利,昇格,そして
ついに勝ちました。
5回目でやっと勝ちました。
チーム創設12年目にようやく東海リーグ昇格です。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間,太陽の光がまぶしくて目の前はキラキラと光っていたことを覚えています。
12年前の創設メンバーでこのピッチに立っていたのは私ともう一人だけでした。
時は流れ,たったそれだけになってしまいました。
試合後,三重県で優勝することを目標にしてこのチームを創設し,一緒に苦楽を共にしてきた親友(あの高校サッカー部の彼)との抱擁は,ごく自然なことでした。
高校時代でもこんな抱擁はしたことがありませんから,私たちはそれだけしんどかったということです。
そしてこの時,私の中で何かが終わりました。