エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
ぶらっと寄り道話

My試験物語②

教員採用試験の話

恥と思っていないので告白します。

私は静岡県教員採用試験は不合格でした。

まあ静岡県の時は試験に臨む姿勢や準備が足らなかったと自覚しているので不合格に対して不満はありません。

でも不合格は不適正ということなのでしょうか。

いきなりオチみたいですが,私は三重県の教員採用試験に合格しています。

静岡県は不合格で三重県は合格。

静岡県は不適正で三重県は適正。

何となく引っかかります。

三重県で25年間小学校教諭として勤務できた私が,静岡では試験の段階で不適正と判断で来た理由は何なのでしょうか。

つまり,このような試験は「点数」の高さで「やる気」を判断し,「面接」等の実技でその人の「能力」や「人柄」を見極めるものだと言うことです。

静岡県の試験と三重県の試験の間に劇的に学力や教育観が伸びるわけではありません。

それなら選ぶ側も大変です。

もしかしたら今後数十年間分の県や市町の財産となる人材を見落とす可能であるのですから。

「合格と適正はイコールではない」ような気がします。

1次試験合格の話

そんなわけで私は三重県の教員採用試験に合格しました。

たしか8倍の関門だったように思います。

つまり8人に1人が合格できる試験でした。

優秀のような気がしますが,私の場合はそうでもありません。

私は1次の筆記試験の記憶があまりありません。

出来た自身もありません。

でも実技はよく覚えています。

まず図工です。

自分の手で感情を表現する描画の試験でした。

またしても準備不足の私は色鉛筆を忘れ,丸付け用の赤鉛筆しか持っていませんでした。

赤鉛筆を持っていただけでもラッキーなので私は,握りしめたこぶしを赤鉛筆で力強く描きなぐるという作戦に出ました。

作品名はズバリ「怒り」。

体育では,バスケットのようにボールとつきながら移動する「ジグザグドリブル」と言う試験がありました。

私に渡されたボールの空気が緩くて困りました。

案の定,余計なところを気にしていたのでボールが自分の足に当たってしまい,ジグザグドリブルは失敗してしまいました。

私はボールを急いで取りに行き,ゴールに戻って挨拶をしました。

悔しかったのでせめて挨拶だけでもと,元気良く「ありがとうございました。」と言いました。

音楽では,「大きな栗の木の下で」を弾き歌いすると言う試験でした。

こう見えて(どう見えて?)私はピアノが弾けません。

1次試験の前に自宅にあるキーボードで練習しました。

一応,たどたどしくも出来るようにはなりましたが,自信は全くありません。

当日,私が弾くピアノは音楽室によくあるピアノです。

練習してきたキーボードより鍵盤の数が多い…。

うかつでした。

ピアノのイスに座った私は鍵盤を見つめながら「どれがドやろ?」と密かに悩みました。

勝負の瞬間です。

正解!!!

こんな感じでした。

適正か不適正か?

やっぱり教師としての可能性を短期間に見極めるのは至難の業ですね。

私は1次試験に合格しました。

自分でも意外でした。

二次試験合格の話

二次試験は面接です。

当時は模擬授業と言うのがあったのですが,またしても準備不足をやらかします。

面接会場に入ると,試験を受ける人達がたくさんの教科書を用意していて,せっせと教科書を読んでいたのです。

どういうことかと言うと,面接当日に模擬授業をする科目や学年,内容を告げられるので,それに対応するために全学年且つ全教科の教科書が必要なわけです。

「やばい!やってしまった!!」

と内心焦っていた私に神が舞い降ります。

私に告げられたのは,小学校3年生社会科の「商店の工夫」でした。

そう私の学部と専攻は「教育学部小学校社会科」です。

「きたあ!ついてる俺!!」

私はとりあえず持っていた紙に授業案を考えました。

模擬授業で私に与えられた時間は導入の5分間のみです。

確か,昔ながらの駄菓子屋の店の前にはアイスクリームの保冷庫やゲーム機が置いてある理由を考えることで商店の工夫に繋げていく内容だったと思います。

マンガ好きの私は「こち亀」をよく読んでいたのも幸いしました。

適正か不適正か?

判断はとんでもなく難しいですね。

後輩へのアドバイスの話

私はこれから教員採用試験に臨む後輩たちからアドバイスを求められると,私の試験の経験を話していました。

さすがに「試験は運だ」とは言っていません。

(ただし本音の私は「運」が良かったと思っていますが…。)

私が話していたことは以下の通りです。

最低限の点数は「やる気」の判断材料になるけど,選ぶ側も適正か不適正化を判断するのはかなり難しいから,変に選ばれようとするのではなく,試験そのものを楽しむことが大事。

私でも合格したんだから可能性は全員にある。

最終的には,これから受け持つ子ども達をどれだけ大切に思っているかだと思う。

先生も子どもと一緒に育つという話

私は分厚い合格通知が届いたときにこう思いました。

「本当に合格してしまった。どうしよう。」

でした。

あれから25年,いろんなことがありました。

先生1年目,先輩の先生に「今日飲みに行くか?」と誘ってもらって,屋台みたいなところで悩みを聞いてもらったこともあります。

まるでドラマです。

辛すぎて教室で泣いたこともあります。

まさにドラマです。

先輩の先生方や保護者の皆さま,子どもたちに温かく支えられて,私は徐々に先生らしくなっていきました。

私の頃は,これぐらいのゆとりの中で子どもとともに「先生」として育ててもらえたのです。

今の時代は「即戦力」が求められます。

もし私が大学生に戻って教員採用試験を受けたなら,絶対に合格できないと言い切れます。

それぐらい今,合格している先生達は優秀だと思います。