「脱力」の価値に気づいてからというものトッププロの選手の腕に注目しています。
彼らは一様に肘から下がブラブラしていて肩に力が入っていません。
彼らが意図的にしているのかは分かりませんがトッププロの動作なので無価値と言うことはあり得ません。
相手の動きをぎりぎりまで見ることができたり、相手に合わせてステップをしたり,ギリギリで判断を変えたり,しなやかな動きでボールを運んだりできるのは脱力が関係があると私はにらんでいます。
私が腕の脱力の価値に気づいたきっかけは,ヨハン・クライフ選手の動画を観たときでした。
みての通り,腕がブランブランとしていて,身体の動きに合わせて自然とバランスをとるように揺れています。
なおかつ高重心で股関節が使えていて背中がピンと伸びています。
35秒から43秒付近の中央のドリブル突破には衝撃を受けました。
ドリブルをしていてあんなに腕が振られるものでしょうか。
クライフ選手が腕を意識をしていたかは分かりませんが,左右に振られた腕でバランスをとりながら相手のタイミングを外してスペースへと前進しています。
ただただ恐るべしです。
我が子を見てみると,長男は肘から下が固定されているように見えましたし,二男は肩が張ってしまっています。
三男が一番脱力をしているように見えたのは,もしかしたら年齢が低いからかもしれません。
つまり小さい子どもほど自然に脱力している。
ということはクライフは子どもと変わらない。
この考え方は目から鱗でした。
子どもから大人に近づくにつれて様々な要素で姿勢が崩れていくのです。
子どもの頃の自然な脱力を維持していくためにはどうしたらいいのでしょう。
一つは「遊び」かなと思いました。
雲梯やのぼり棒,肋木,ジャングルジム,鬼ごっこなどの遊びを通して,身体を思いっきり動かす体験をさせる。
子どもたちは無邪気に体を動かしていくでしょう。
もう一つは「呼吸」です。
鼻で吸い,口で吐く。
意図的に子どもたちに意識させることで習慣化させる。
はたしてクライフがそうしていたかは分かりませんが,クライフの遊び心のある伸びやかなプレーの説明がつくように思います。
育成年代に遊びを無くした勝利至上主義を持ち込む弊害がここに現れているのかもしれませんね。
クライフ選手以外にも腕の脱力がわかりやすい選手はロナウジーニョ選手やモドリッチ選手,ネイマール選手かなと思います。
ちなみにメッシ選手はもはやエイリアンなので「脱力の神」だと私は思っています。
気をつけてほしいのですがドリブルやコントロールのスキルに注目してほしいのではありません。
あまりに上手すぎてつい気になりますが,注目すべきは腕の脱力です。
腕が脱力しているからこのスキルが発揮できているという視点で動画を観てくださいね(^^)v