教職を離れて約7か月が過ぎました。
社会人になってからも登校と下校が私の日常でしたので,相変わらず規則正しい生活リズムを刻んでいます。
習慣はそう簡単には消えないものですね。
長所と短所
私の長男はインターネットを使った通信制の高校で学習をしています。
この高校の長所はいつでもどこでも学習を進められるところです。
例えば海外遠征に行ってインターネットの環境さえあれば学習できます。
短所は人に会わないところです。
24時間で私と二男としか会話をしない日もあります。
長男は高校1年生です。
多感な時期です。
集団生活の中での刺激を生かして,柔軟なコミュニケーション能力を伸ばす絶好の時期です。
だから親としては短所の方を強く意識してしまいます。
このままでは立派な社会人になれないのではないか。
得意と苦手
でもです。
そもそも立派な社会人て何ですか?
無職の主夫である私は立派な社会人ですか?
だから最近は少し考え方を改めようと思い始めました。
インターネットが当たり前の世の中を生きるこれからの子ども達のことを考えると,真っ先に短所に目を向けるのではなく,長所を伸ばしながら短所を補っていく感覚の方が良いのかなと思い始めました。
これは学校教育にも当てはまると思います。
例えば,Aさんは国語が得意だけど算数が苦手だとします。
この場合,Aさんの苦手を克服するために算数の補習を中心にした学習をしていく発想になると思います。
でも,ただでさえ苦手な算数の補習をして本当にAさんは算数が得意になるのでしょうか。
例えば,Aさんが算数を苦手にしている原因が指導者の教え方なら,指導者を変えれば得意になるのかもしれません。
その程度のことなら良いのですが,苦手の原因が指導者でないのであれば,Aさんにとっては算数の補習は苦痛だと思います。
長男も算数が苦手でした。
と言うか「分かった振りをしていて実はわかっていなかった」というパターンです。
だから中学校で寮生活をしつつ,コロナ過で近寄ることもできなかった期間も重なり,長男の数学の成績は悲惨でした。
中学校の先生は高校受験に向けて指導範囲を確実に進めていかなければいけませんから,分かった振りをしている長男はどんどんついていけなくなりました。
せめて先生に「分からないから教えてほしい」と食らいついていたら違ったのかもしれませんが,苦手意識が強すぎてもはや「嫌い」と言う感情にまで至っていたので,わざわざ余分に努力するようなこともしませんでした。
長男に得意は無かったのかと言うと実はあります。
それが英語でした。
英語だけはいつも平均点を超えていました。
それはサッカーを通して海外志向を強く持っていたからです。
だから英語だけは先生の言うことを分かった振りにしていませんでした。
日常英会話が流暢に出来るわけではありませんが,相手が言っていることはまあまあ理解できるそうです。
長男は英語は得意だけど算数(数学)が苦手。
先ほどのAさんと構図は同じです。
公立学校に通う子どもは多様です。
Aさんや長男のような子どもがたくさんいます。
そんな子ども達が学校生活に苦痛と言うマイナスな感情を抱かずに,自立に向けて「前向きに努力できるように育てていかなければいけません。
長所を伸ばす
だとするならやはり「長所を伸ばすこと」に時間をかけるべきかなと思います。
Aさんの場合なら国語に得意を感じているのできっと英語も出来るはずです。
言語を使った課題や他者とのコミュニケーションを積極的に促していくことで,国語と英語と言う長所が増えて自尊感情も高まっていくことでしょう。
長男はインターネットを駆使してより実用的な英語を学びつつ,苦痛を感じない程度の算数に取り組むのもありです。
実際にそうしています。
目標はいつも前向き
各学校には「学校教育目標」という目標があります。
各校はこの目標の達成のために日々教育活動を行っているのです。
例えばどんな目標があるのかは各校のホームページに載っていると思うので興味があれば調べてみてください。
それを読むと分かります。
それらは決して後ろ向きな目標ではないのです。
だから子どもは「前向き」の育てていくべきなのです。
5教科で400点を超える人材を育てたくなる気持ちはよくわかります。
そのために苦手を克服していくことも分かります。
でも子ども達が自立して幸せに生きていくために,必ずしも400点を超えていなければいけないと言うわけではありません。
それよりも「400点を超えたいと思って努力できる」子どもを育てることの方が大事ですし,もっと言えば「満点を目指したいと思える教科がある」だけでも素晴らしいことだと思います。
立派な社会人とは
現在の社会はマルチに活躍できる万能型の人材を好みます。
それはきっと社会に余裕が無いからだと思うのです。
しかしなぜか世の中で影響力を強く持っている人ほど個性的で魅力的な生き方をしています。
彼らはなぜ個性的で魅力的になれたのか?
それは間違いなく「自分の長所を最大限の特長にしている」からです。
彼らは「前向き」に人生を生きています。
なぜなら「長所は前向きな思考」だからです。
もし自分のお子さんや,学校の子どもが,自分の長所について熱く語ってきたならそれがチャンスです。
そこを追求していけば個性的で魅力的な生き方になるからです。
ぜひ積極的に「長所」の話を子どもとしてください。
照れる子どもはいても苦痛を感じる子どもはいないはずです。
誤解を招きたくないのですが,「マルチである」ことも個性的で魅力的だと言うことを忘れてはいけません。
大切なことは結局は「前向き」かどうかなのです。