エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

ドリブル論

スペースへドリブルする

小学生の頃の長男のプレーを観ているとスペースへとドリブルをしていることが分かります。

相手が前から来たらもともと相手が居たスペースが空いたので横から斜め前へとドリブルし,相手が右から来たら左から斜め前,左から来たら右から斜め前へという感じです。

なぜこのようなドリブルをするようになったのかというと,私がそのように邪魔をしながらディフェンスをしてあげたからです。

2つのポイント

このプレーで重要なことが2つあります。

一つ目は,相手が動いたことで「どこにスペースが出来たか」を認知することです。

長男はボールを足元に置いてジンガのような動きをしません。

そもそも私がジンガを出来ないというのもあるのですが,それだと相手の動きが観れずにどこにスペースが出来たかを認知できないからです。

だから長男には,常にボールは動かして相手がどのように動いてくるのかを観るように言っていました。

その結果だと思います。

U12の県トレセンのときに,ある子どもから

「長男はどうしてそんなにサッカーが上手いのですか?」

と質問をされました。

私は

「真面目に答えた方がいいの?」

と返すと

彼は

「真面目にお願いします。」

と言いました。

サッカーに誠実な良い子です。

私は

「サッカーは自分がしたいことを邪魔して来る相手がいる。長男はそのことを理解している。」

と答えました。

彼は

「なるほど。」

と目を丸くして感心していました。

そういうことです。

二つ目が1番大事なのですが,サッカーはドリブルの発表会をしたら勝てるのではなく,「得点を奪ったら勝てる」ということです。

長男とドリブルの練習をしたときは必ずゴールを設定していました。

ゴールを奪うためにドリブルをする。

この当たり前を当たり前にしたのです。

8人制のサッカーではコートが狭く,相手ゴールが近いので,ゴールからゴールまでドリブルすることもありましたし,どこからでもドリブルでゴールを目指せました。

ドリブルしてシュート。

それが試合でも実行できていたのです。

11人制サッカーでの役割

でも11人制のサッカーではそんなことはまず出来ません。

高校生になった長男は小学生の頃のドリブルがどんなドリブルだったのか分からないと悩んでいます。

でもそれは当たり前で,山梨で徹底的にサッカーを学び,ポジションによって必要なプレーを身に付けた長男は,小学生の頃のように無邪気にドリブルをする場面が減ったからです。

長男は1-4-3-3の左インテリオールでプレーすることが多く,常にスペースを空けたり埋めたりしてチームのバランスをとっています。

特にウイングの選手はドリブルにストロングがある選手が配置されることが多いので,長男は左のウイングにボールを届けることが重要なタスクになりました。

自分がドリブルをして相手に奪われていてはチームにとってマイナスです。

その結果,ボールを守るドリブルは向上しましたが,抜くドリブルはチャレンジする機会を激減させていたのでした。

そうやって本来のドリブルの仕方を見失ったというのです。

イニエスタ選手の場合

長男のあこがれはイニエスタ選手です。

最盛期の彼は長男と同じ左のインテリオールでも魔法のようなドリブルをしていました。

でも彼のドリブルをよく見てみると,相手を抜くドリブルをしているときはスペースが出来たとき且つゴール方向へのスピードが上がった時だけで,それ以外は相手のプレスをかいくぐるために細かいタッチのドリブルか守るドリブルなのです。

つまりイニエスタ選手が認知しているものは,「相手」と「スペース」と「ゴール」いうことになるのです。

長男はイニエスタ選手ではありません。

長男は長男です。

まったく同じプレーはできません。

でも認知するものは同じに出来ます。

実際,すでにかなり近いものを長男は認知しています。

「我」を解放できるメンタル

小学生の頃の長男は「MVP&得点王」を毎試合の目標にしていました。

それぐらい「我」を出していました。

そろそろそれを解放してもいいのかなと思います。

決して傲慢になるのではなくチームの勝利のために「我」を出すのです。

トップトップの選手が観客を魅了するプレーが出来るのはなぜなのか?

私は,彼らがたくさんの経験を積んで,まわりまわって,子どもの頃の無邪気な自分を解放しているからだと思うのです。

賢い選手が無邪気にプレーしたら,それはそれは恐ろしい選手になりますよね。

私だったら絶対に彼らに遊ばれます。

長男もそんなプレーが出来る日は近いのかなと思います。