日本対コスタリカの試合を視聴した後に,スペイン対ドイツの試合を視聴していると同じサッカーの試合なのに違うスポーツのように感じてしまいます。
それはやはりサッカーが文化として生活に根付いているかどうかの差なのかもしれません。
On The Ball
つまりボールがあるとき。
①止める
スペインとドイツはボールを止める技術が高く,それも何がしたくてボールを止めたのかが明確にわかります。
足元に止めるのか,スペースに止めるのか。
(そもそも止めないという技術もある)
それらを決めているのは相手であり,相手ありきで止めどころを変えています。
止めてから考えるということはほとんどありません。
相手ありきで止めているので当然です。
②蹴る
蹴る技術についてもしかりで,強さや速さなどに意図を込めてパスをすることが出来ます。
パスをする目的を理解しているからこそ,パスの種類も使い分けられるのです。
相手が間に居れば浮かしたり,ずらしたり。
仲間にコントロールさせたければ強く,ダイレクトプレーをさせたければ弱く。
常にゴールへの逆算ですね。
きっと彼らは単純な止める蹴るの練習を行うだけでなくだけでなく,何のために止めるのか,何のために蹴るのかを考えさせる練習でこの技術を身に付けているのだと思います。
③ドリブル
ドリブルについては基本は運ぶことが中心で,常に視線を上げながら運べますし,相手の出方によっては守るドリブルや抜くドリブルを使い分けでいます。
運ぶドリブルをベースにしながら,抜くドリブルが得意な選手ほどウイングに居て,守るドリブルが得意な選手ほどディフェンスにいます。
ちなみに中盤の選手は基本的に何でも出来る選手です。
ボールを扱わせたら日本の選手は世界でもトップレベルだと思います。
でも相手がいるとそれは少し変わります。
サッカーが文化になっている国は,相手がいることがサッカーなので,相手がいないサッカーはサッカーではないと言い切れるぐらいだと思います。
サッカーでは相手がいる中でどんなドリブルを選ぶのかがとても重要なのです。
それは止める蹴るも同じですね。
Off The Ball
つまりボールがないとき。
スペインのオフ ザ ボールはずば抜けて上手いと思います。
あの屈強なドイツの選手が激しくプレスをかけても無力にできるぐらい,それぞれの選手が相手の動きに合わせて正しい立ち位置でプレーすることが出来ています。
観ている方も「なぜスペインはあんなに簡単そうにパスをつなげるんだろう。」と思うかもしれませんが,決して簡単ではありません。
よく観ていると,全員が少しずつ動きながら,有効なスペースを作り続けていることが分かります。
誰かが動いたら,そこに出来たスペースを誰かが使う。
自分がボールを受けるために動くだけでなく,誰かのためにスペースを作る動きを同時に行っているのです。
これらは長年の育成の成果でもあり,彼らはその選りすぐりの選手達なのです。
ガビ選手はまだ18歳です。
末恐ろしいですが,まだ子どもの身体の彼がこの舞台でプレーできるのは,オフ ザ ボールの質が高いからなのです。
どんなに速くても,どんなに強くても,1対1が出来なければそのフィジカルを使うことはできません。
ドイツが前半に苦労した理由です。
このようにサッカーが文化になっている国は,オフの質が高く,サッカーそのものの捉え方も明確です。
日本サッカーの国際化が進んでいます。
選手の経験値も高くなっています。
きっと近い将来,日本もこのような国に近づいていくはずです。
でも残念ながら今はまだ差がありますね。
サッカー文化が生み出したゴール
後半のドイツはリスクを覚悟で,前からマンツーマンでプレスをかけました。
その結果,スペインは有効なスペースを作る時間が減り,ぎりぎりのプレーが増えてしまいました。
勢いに乗ったドイツはこのまま押し切れると思ったと思います。
でもさすがはスペインです。
そもそも育成年代から様々な経験を積んできているので,このようなプレスにも慣れています。
スペインはドイツのプレスに慣れてくると,ワンタッチのパスを増やしながらテンポを上げていき,またしても有効なスペースを見つけ出していきました。
その結果がモラタのゴールです。
このようなゴールは決して偶然ではなく意図的に生まれたのです。
一方ドイツも意地のゴールで同点に追いつきました。
ジョルディ・アルバ選手がバルデ選手と交代し,人のバランスが崩れた隙をつかれました。
このタイミングで得点を奪うドイツもさすがですが,これもサッカーです。
日本は最後にスペインと対戦します。
スペインは,勝てば文句なし1位通過で引き分けでも2位内を確保。
日本は,勝てば2位内確保して通過し,負ければ予選敗退です。
W杯でサッカーが文化の国とガチンコの対決できる幸せを噛みしめながら,素晴らしい経験を積んでほしいと思います。
Vamos Japan!