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サッカー愛にあふれたうんちく話

PK論

PK戦て何?

日本代表とスペイン代表が120分間の激闘後のPK戦で敗戦しました。

日本代表は「PKに覇気が感じれなかった」 人気YouTuberのダメ出しに批判殺到「何様やねん」: J-CAST ニュース【全文表示】

 

スペイン、2大会連続16強敗退 PK戦で敗れ「最も残酷な…」と嘆き | 毎日新聞

逆にクロアチア代表とモロッコ代表はPK戦で勝利しました。

クロアチア、PK戦で日本を破る W杯準々決勝に進出(1/2) - CNN.co.jp

 

モロッコが新たな歴史を作る!PK戦に及ぶ死闘でスペイン下し、史上初のベスト8進出 | Goal.com 日本

今回はPKについてうんちくします。

PKとはペナルティーキックの略です。

PK戦とは試合の決着をつけるために行います。

カタールW杯は決勝トーナメントからは15分の延長戦でも決着がつかなければPK戦を行うルールになっています。

両チームとも5人ずつ蹴り,たくさんゴールに入れたチームの勝ちになりますが,それでも決着がつかなければ,一人ずつが蹴るサドンデス方式で進めていき,決着がつくまで続けます。

日本代表は先攻でした。

4人目の吉田選手が外した時点で1対3になり決着がつきました。

スペイン代表は後攻でした。

モロッコ代表の4人目のハキミ選手が決めた時点で0対3になり決着がつきました。

日本代表とスペイン代表はどちらも3人がGKに止められたりポストに当たったりしてゴールを外してしまいました。

PK戦はGKが有利

W杯に出場できるほどのトッププロである彼らがどうしてこんなにも外してしまったのでしょうか。

それは「運」だという意見もあります。

人が行うことなのでそれもありえます。

実際,適当に蹴って入るときもあれば,入らないときもあります。

それでも,私は「運」で片づけたくないと思っています。

特にGKは緻密な戦略で優位に立てる方法があります。

それは決して「運」ではありません。

まずGKは5回チャレンジが出来るということです。

5回の内で1回でも止めることが出来ればチームはかなり有利に立てます。

5分の1の確率で良いのです。

もちろんPKの練習もしてきた」南野も三笘も吉田も…4本中3本ストップ、あのクロアチアGKが明かした“本音”「PK戦はクジ引きみたいなもの」 - サッカー 日本代表 - Number Web - ナンバー

一方,キッカーは一人1回しかチャレンジできません。

つまり1分の1の確率で入れなければいけません。

すでにこの時点でストレスに違いがあります。

それも4年に1回しかないW杯の決勝トーナメントのPK戦となれば,それはとてつもない重圧になります。

明らかにGKが有利です。

モロッコ・スペイン>PK戦、右手一本でMFブスケツのシュートを止めたモロッコ代表GKブヌ(AP)― スポニチ Sponichi Annex サッカー

GKが考える巧妙な戦略

私が考えた戦略を紹介します。

それは「相手が蹴った方向に跳ぶ」というものです。

まずGKは中央に立ち,相手が蹴るまでじっとしています。

相手がボールを蹴った方向に全力で跳びます。

当然,遅れているのでまず止められません。

ちなみに相手が中央に蹴ってきたら,GKは動いていないので,そのまま止めることも出来ます。

なぜこのようなことをするのかというと,相手に「シュートコースが読まれているかもしれない」という心理的なストレスを与えることを目的にしているからです。

すると2人目のキッカーはより慎重になります。

慎重になるとどんなシュートを打つかというと,強いボールを出来るだけ隅に蹴るようになるのです。

隅に蹴れば蹴るほどゴールポストに当たる確率も上がりますし,外れる可能性も上がります。

これが3人目,4人目まで続けばストレスはマックスになります。

するとキッカーが勝手に外してくれることのなるのです。

それでも「運」はある

「運」の部分で考えるなら,GKを見ないで力づくのシュートを適当に蹴るキッカーもいるので,その場合はこの戦略が当てはまりません。

ペナルティースポットまでの距離は11mです。

トッププロが全力で蹴ればそれなりの威力になります。

どんなに読んだとしても止めきれない可能性があります。

つまり「運」の要素が強くなります。

ただしキッカーにとって疲れた身体で全力で蹴るという行為そのものが勇気のいる行為なので,よっぽどメンタルが強く覚悟が決められる選手にしかこのキックは選べません。

それはGKも一緒で,キッカーの心理や動作を無視してタイミングだけを合わせて適当に跳ぶということも出来ます。

これも「運」の要素が高いPKになります。

PK戦はGKとの「駆け引き」

このようにわざと「運」を利用するという戦略もあるので,PK戦はGKと相手チームの「駆け引き」のせめぎ合いとも言えます。

ネイマール選手はあえてGKとの駆け引きを選択します。

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助走で緩急をつけた動きを入れながら,GKのタイミングを外しにかかります。

「先に動いたら負け」

この駆け引きの中でGKはネイマール選手に負けているのです。

このPKの場合は,「軸足のため」がポイントになります。

踏み込んだ時に軸足の膝を柔らかくしてほんの少しだけ蹴るタイミングをずらします。

このずれでGKは我慢できなくなるのです。

ただしこの蹴り方は強いボールが蹴れなくなりやすく,GKが全く動かないときに焦ってしまうという弱みがあります。

だから,ネイマール選手のようなPKを選ぶ人は,PKそのものを楽しめるの「駆け引き好き」もしくは「遊び好き」ということになります。

悔いを残さない

色々とうんちくを綴ってきましたが,大切なことは悔いを残さないことです。

精神論になってしまうのですが,キッカーにとってPKの失敗はトラウマになりやすいものです。

だからこそ,キッカーは自分が1番自信が持てる方法を選ぶべきです。

かたやGKは5分の1の確率で良いという気楽さを逆手に取り,今日のヒーロー気分でPKを楽しむことが大切です。

受け身になると必ず「自分のせいで負けた」という精神になってしまいます。

だって5回に4回は入れられるのですから。

日本代表やスペイン代表で外した選手は,ぜひまたPKを蹴ってほしいです。

なぜなら彼らはトッププロなので,弱みを見せることは選手そのものの価値をげてしまうからです。

「決めるまで蹴る」

この精神で挑み続けてください。

PKを外したことが無い選手は,おそらくPKをあまり蹴っていない選手です。

大舞台でPKを蹴る勇気がある。

それだけで十分魅力的な選手です。

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