全国高校サッカー選手権の華々しい舞台に立てなかった選手たちがスタンドで応援する姿が健気な姿としてテレビで放送される。
視聴者はその姿に心を震わせて彼らの代表としてピッチに立つ選手達に声援を送る。
日本の風物詩です。
でもどうしても私には理解できません。
サッカーがしたくてサッカー部に入ったのにサッカーが出来ないという現実が。
彼らはサッカー部ではなくもはや応援部です。
それでもチームスポーツだから仕方ない。
サッカーってそういうもんだから仕方ない。
そんな価値観の中で彼らはサッカーから徐々に心が離れてしまうのかもしれません。
好きでサッカーをしていたはずなのに,気がついたら競争に勝つことが目的になり,競争に負けた者は競争に勝った者を応援することを強いられる。
応援しない者はチームの一員ではない・・・・。
本当に育成年代で全国大会って必要ですか?
ちょっと悪意のある綴り方をしてしまいました。
すみません。
以前にも綴りましたが私はある子どものサッカーする機会を奪ってしまった経験があります。
私なりに誠意を尽くしたつもりでしたが彼はチームを退団するという結末になりました。
その後の彼がサッカーを続けているかどうかも分かりません。
それ以来,私は育成年代の子ども達が試合で1秒もプレーしないと言うことに違和感を持つようになりました。
それも公式戦と呼ばれる勝利がより強く求められる試合で出場しないことにです。
トレーニングマッチに出場しているからプレー時間を確保しているから別に良いよね。
そう思われる方もいるでしょう。
でも彼らは
「どうせオレは下手だからトレーニングマッチしか出られない。」
「どんなに練習してもどうせ公式戦には出られない。」
「同じ練習をしているのにどうしてあいつが出られてオレが出られないのか分からない。」
と思うのではないでしょうか。
勝ちたいのはいったい誰なのでしょう。
育成年代だからこそ,勝利が強く求められる試合に出ることに価値があるのではないでしょうか。
例え,その選手が出場することで勝利の可能性が下がったとしてもです。
そもそもそんなに勝利が大事でしょうか?
負けたとしても感動的な試合は出来ますし,勝ったとしてもつまらない試合もあるはずです。
結局は勝利しないと評価されない。
キレイごとだけでは勝てない。
だから今1番勝てる可能性のある子が試合に出る。
それを決めているのはそのチームのコーチです。
そうまさにあの時の私です。
プレイヤーズ ファースト
いったいこの言葉の真意とは何なのでしょう。
今でも私に答えは出ていません。
でも,試合終了のホイッスルの音をベンチで聞いたあの子の悲しげな表情は,決して忘れることはありません。
指導者,コーチ,この仕事は本当に大切で,難しくて,切ない,そんな思いから逃げない覚悟がいる仕事だと思います。