私が元代表であり選手でありコーチをしていたチームのジュニアユースが交流戦でナラディーアに来た2日目。
1試合目を終えた後にトップチームの練習を見学しました。
ちょうどこの日は長男が奈良クラブのトップチームの練習に参加していました。
長男がトップチームに参加している様子を見学することは,彼らにとって自分たちの進路を具体的に意識できる絶好の機会です。
私は元教え子たちと一緒にトップチームの練習を見学していました。
時間が経過すると徐々に退屈をし始めました。
三男なんかはおしゃべりをしています。
理由はトップの選手達の練習が彼らからしたら「地味」に見えたからです。
私は現在チームの代表兼ジュニアユースの監督をしている元チームメイトから,ぜひトップチームや長男のことについて話をしてほしいと言われました。
私は,
「正直に言って欲しい。今日の練習を見ていて退屈だった人?」
と尋ねました。すると半分以上の子が手を挙げました。
「正直で良いよ。自分の気持ちに嘘をつく必要はない。」
そう言った後,
「君たちはトップの選手の華やかなところしか見たことが無いよね。だけど,トップの選手はその華やかな舞台に立つためにこうやって一見したら地味に見える練習をしている。月曜日はこれ,火曜日はこれ,水曜日は…と言う感じで試合に合わせて調整していく。それで華やかな舞台に立てる人もいれば残念ながら立てない人もいる。リーグ戦は約1年間続くからそれをひたすら繰り返していく。それがプロサッカー選手の現実なんやよ。それがプロサッカー選手として生きると決めた彼らの信念なんさ。」
と説明しました。
みんな真面目に聞いてくれています。
「長男の様子を見ていた人は分かると思うけど,与えられた時間の中で必死にディフェンスをしていたやろ。それも現実なんさ。でもな,長男はこの世界で生きると決めているから文句なんか言わないし,いつでも自分がいる場所で全力を尽くすだけなんやよ。それを続けてきてようやくこれぐらいなんやわ。」
最後に私は,
「君たちがプロサッカー選手になりたいかどうかは君たちが決めたら良い。今日は地元にいたら絶対に見れないものが見れたことはすごく良かったし,長男のことを知っている子からしたらプレーする様子を見れて良い刺激になったと思う。長男が出来たことが君たちに出来ないと言うことは無い。全ては君達次第やよ。だから絶対に自分がやりたいことは自分で決めなきゃいけない。」
と伝えました。
練習を終えた長男がやってきました。
長男は先ほどの練習での悔しさを胸にしまい,元チームメイトたちに向けて優しい表情をしています。
ちょっとだけ大人になった長男。
最後に長男を真ん中にして全員で記念写真を撮りました。
誰が言い出したのか分かりませんが数人で胸にハートマークを作っていました。
私はすごく良いことをしているなと思いました。
この中には二男と三男もいます。
息子達の地元の幼馴染もいます。
私の教え子もいます。
こんな未来がやってくるとは思いませんでしたが,この未来は長男を中心にして我が家がぶれずに行動してきた成果だと思います。
世の中には絶対に無理なことなんてありません。
自分が無理と思うから無理になるのです。
長男は小学校を卒業してすぐに親元を離れて山梨県で寮生活をしました。
中学校を卒業して奈良県に来ました。
ずっと自分の信念を通してきました。
その結果が今です。
まだまだ通過点です。
我が家にとっても通過点です。
一緒に写真を撮ったこの中から「自分がやりたいことで幸せな未来を掴む子」が出てくることを願っています。