県3部リーグ所属チームの実情
私自身,県3部リーグがどれほどのレベルなのかはわかっているようでわかっていませんでした。
試合会場はほぼどこかの学校のグランドです。当然ですが土です。相手によってはパワーバランスが合わずに大量得点差になってしまいます。それなのに試合時間は90分です。長男のようにある程度高いカテゴリーでプレイしてきた選手にとっては年間を通してモチベーションを維持することが難しいリーグだと感じました。
それは初戦にいきなり実感します。高校のグランドで正規のピッチサイズはとれずに狭い。柔らかい土でボールがまともに転がらず,蹴るのも運ぶのも止めるのも一苦労。相手はカウンターもしくはハイプレスで相手のミスを誘発するスタイル。一方,奈良クラブユースはボールを保持しながら数的優位を作り出し,有効なスペースへと運ぶスタイル。この環境ではどちらの戦術が有利かは明確です。奈良クラブユースはボールコンロトールでミスを繰り返し,相手に勝利への勇気を与え続けました。その結果,ゴールキーパーの不用意なミスで失点し,そのまま引き分けで終わってしまいました。長男は苛立ちを隠せませんでした。本当にこのクラブで良かったのか。自分の決断を疑いたくなる内容でした。
それでもこれが自らが選んだ道であり現実です。逃げ出すことはできません。腹をくくった長男は今後の全ての試合で勝利することになります。しかし,昔の仲間が華やかな舞台で活躍するのが目に入ると戸惑いを見せていました。
普段の練習はアメージング・アカデミーで中1の時にやっていたような基礎的なものでしたし,それすら理解できない仲間がたくさんいました。メンタル的にもプロサッカー選手を目指しているとは思えない選手もいました。長男にとっては,自分だけが浮いていると感じても仕方が無い状態でした。
練習試合の対戦相手は高体連のAチームと対戦できることはほぼありませんでした。それも県1部リーグの高体連であっても試合をしてもらえませんでした。J下部と試合をするなんてことは全くありません。ましてや負けるとは思えない街クラブ相手に苦戦することもありました。
長男にとってユース1年目は「サッカーは嫌いになりそうだった。」と言うほど苦しくて辛い時間になりました。私もそんな長男の姿をそばで見ていて,何とか支えていましたが,どうしようもないもどかしさを感じていました。
次回は「最高の治療院との出会い」です。