ラミン・ヤマルの躍動が止まりません。
CL準決勝、インテル戦のゴールはメッシを忘れさせるほどのゴラッソでした。
彼は17歳。
もはや年齢を評価基準にすべきではない時代がやってきたのかもしれません。
彼の特長はドリブル。
左利きを生かした深い切り返しとタイミングをずらすボディーフェイント,そしてセカンドタッチの絶妙さ。
これらを駆使して現在は無双状態です。
ウイングのポジションと言うことをも彼を輝かせました。
1対1でドリブルを仕掛ける状況になりやすいので彼のストロングが発揮できます。
私は彼の本当の上手さはボールの置き所だと思っています。
彼がドリブルを仕掛ける前に入るボールは,中央か逆サイドからの斜めのパスが多いです。
つまりサイドチェンジの状況です。
サッカーをしたことがある人ならわかりますが,実はサイドチェンジのパスをピタッと止めることは容易ではありません。
それは長くて強いパスだからです。
選手は心理としてコントロールミスをしたくないので,確実に止めるために向かってくるボールに対して正対してしまいます。
何が起きるでしょう?
相手は中側からプレスをかけています。
コントロールされたボールはプレスした側にあるので狙い易くなるのです。
せっかくサイドチェンジしたのに,前進出来ず,ボールプロテクトに切り替える。
これがよくある光景です。
しかし,ヤマルは違います。
ボールを止められることは当然として,彼は前方向(縦方向)に止めることが出来るのです。
すると中側からプレスに来ている相手は、前に運ばれることを警戒していわゆる縦切りになります。
縦切りをするということは,1mは余分に外側に走ることになりますし,それをすると中を空けることになるので,中へのパスとカットインを容易にさせます。
それも彼は左利き。
素早く寄せられたとしても相手から遠い足でプレイしているので,ボールプロテクトは出来ています。
これが左利きの選手を右ウイングでプレイさせる理由です。
彼の場合はボールの置き所が絶妙なので,相手が中切したら縦ドンをしかけ,縦切りをしたらカットインかパスで2対1をつくります。
相手はどうしようも出来ません。
このボールの置き所は久保建英選手も絶妙です。
ドリブルが上手い選手になりたい。
その視点で彼を観た場合,ドリブルが成功した場面に注視してしまいますが,そのドリブルが仕掛けることが出来た理由に目を向けてみると,ファーストタッチから始まっていることが分かります。
ドリブルはボールを止めるところから始まる。
ドリブルが大好きな皆さん,ぜひ参考にしてください。