日本代表がブラジル代表に初勝利しました。
日本がブラジルから逆転勝利をする未来を,ドイツワールドカップの敗退の時に誰が想像できたでしょうか。
あれから10数年。
日本の若者が海外のクラブプレイすることが当たり前になりました。
今回の勝利は単純にその結果だと思います。
つまりプレイする選手の基準が変わったのです。
昔は,「ブラジル代表=凄い」が基準でした。
きっと観戦をしている多くのサポーターは今でもそうでしょう。
でもプレイしている選手は違いました。
普段からあの程度の強度でプレイしていますし,選手の質も大きくは変わりません。
何ならクラブ単位の方が戦術が整理されているのでチームとしての質は上がると思います。
鎌田大地選手が試合後にこのようなコメントを残しています。
「2点を入れられて、後半はリスクある守備の仕方をした時に、対人のところで相手を上回れたことは大きな要因かなと思います」
↑前半は相手をリスペクトし過ぎたと反省しています。
「やりたいことはできていましたけど、結局人数はいるけど横ずれが遅れたり、人数がいるだけで、勿体無い2失点の仕方だと思っていました」
↑勿体無いという言葉からも対応が出来るレベルだったと感じています。
「良い守備ができないと良い攻撃はできないので、今日に関しては後半は守備が良かったからこそ、攻撃の部分に繋がったと思いますし、ゼロから崩して点を取ったわけではないので、ボールを取って良いカウンターができてということだと思います」
↑勝利したうえで次回は「カウンターではなく0から崩したい」という野心があることが分かります。
「もちろん日本としては今日また新しい歴史を作れましたが、そういうところに自分がいられることも凄く嬉しいことですけど、自分たちはまだまだ上を目指しているので、こういったことを当たり前にしなければいけないですし、結果は日本にとって良かったと思います」
↑前半のリスペクトを反省しつつ,いつまでも初勝利に歓喜していては上に行けないことを自身やチームに警告しています。
鎌田選手の欧州でのプレイは海外挑戦ではありません。
欧州でプレイする他の選手と同様に,当たり前のようにクラブにとって必要な選手であり続けようとする「プロ」そのものです。
このマインドこそが今回の勝利の1番の要因だと思います。
同じように「プロ」としてプレイする長男を身近で見ていて思います。
「少しでも早く欧州に行った方が良い」
プレイする基準を変えないと鎌田選手のようなマインドにはなりません。
いつまでも「挑戦」と言っていては駄目なのです。
ではどうしたら欧州にいけるのでしょうか。
誰に聞いてもこう答えるでしょう。
「日本で結果を出すこと」
でもそれって実は簡単ではありません。
日本のサッカーの基準で結果を出すということは,日本のサッカーの基準でプレイしなくてはいけないということです。
長男はジュニア年代からずっとスペイン国籍のコーチからスペインの基準でサッカーを学んできました。
だから長男の頭の中はスペインそのものです。
日本にいたままで特殊な育成年代を過ごしました。
その結果,いわゆる「勝利至上主義」の日本のスタイルには合わない選手になってしまいました。
それでも「プロ」になれたことは長男の努力の賜物ですが,「プロ」になってからの方がよっぽど苦しい時間を過ごしています。
だってもう自分の意志ではサッカーを辞められないのですから。
やりたくないこともやらなければいけません。
合わないことも合わせなければいけません。
理解できないことを理解しなければいけません。
それでも皆さんは「ここは日本だから日本で結果を出せ」と長男に言うのです。
これまでの自分を否定してでも必死になって調和しようとしている長男にとって,こんなに苦しい言葉は無いのです。
私はそんな長男を支え続ける生活の中で,長男に押し付けてしまったこれまでの育成をずっと猛省しています。
私達は普通の家庭です。
海外なんて日常じゃない普通の家庭です。
だからどうやって欧州に行っていいのかなんてわかりません。
コネもありません。
ずっとバルサやエコノメソッドを大切にしてきたのも,海外との繋がりをつくりたかったからです。
「プロ」になったことで一度は近づいたと思った海外。
でもやっぱりとてつもなく遠かった海外。
これが私達が抱える切実な悩みです。
長男は今日も今を必死で生きています。
決して自分からも現実からも逃げていません。
いつか希望の光が差すことを信じてただただ真っすぐにプレイしています。
親として私は何が出来るんでしょうか。
