エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
サッカー愛にあふれたうんちく話

圧倒的な質の優位

カタールW杯もいよいよ準決勝です。

楽しい時間が終ってしまう寂しさがこみ上げてきます。

本日はアルゼンチン対クロアチア戦でした。

序盤はクロアチアのグランドを広く使ったボール運びが素晴らしく,アルゼンチンの選手の表情が曇っていました。

ボールを循環させるパスのテンポを上げたければ選手間の距離を近くすれば良いのですが,クロアチアはパススピードの速さを上げることで選手間の距離を通常よりも広くしていたように感じました。

だからボールに激しく寄せて数的優位で奪い取りたいアルゼンチンのプレスが機能していなかったのです。

そのバランスをとっていたのがモドリッチでありコバチッチでした。

彼らが真ん中の楔の位置に立つことでショート・ショート・ロングのボールの循環を実現させていました。

「これはアルゼンチンは苦しむかも。」

と思いましたが,常に不気味なのはメッシ選手です。

1人だけこれまでと変わらない表情で淡々とプレーしていました。

きっとクロアチアの選手たちもずっと気になっていたと思います。

そんな時です。

メッシ選手が中央でボールを受ける動きをしました。

メッシ選手が気になって食いついてきたクロアチアの選手は2人です。

そこに出来たギャップを使ったのがアルバレス選手でした。

それもアルバレス選手は最初は左側にデスマルケしたのです。

でもボールが出てきたのは右側でした。

そこはメッシ選手に食いついて出来たスペースだったのです。

この一連の動きが計算されていたかどうかは分かりませんが,クロアチアの選手は空けてはいけないゴール前の危険なスペースをふと空けてしまいました。

アルバレス選手は,動き直しをしてボールに追いつくと相手のGKと1対1になりました。

ここで勝負ありです。

慌てて飛び出したGKとアルバレス選手が接触し,アルゼンチンのPKになりました。

サッカーは攻守が一体のスポーツです。

だから攻めているときにも守備のことを考えなければいけません。

アルゼンチンには精力的に守備に参加しない選手が1人だけいます。

それがメッシ選手です。

ということはクロアチアは攻めていてもずっとメッシ選手を気にしていなければいけないので気持ち良く攻め切れません。

つまりメッシ選手はいるだけで守備をしていることになります。

それもメッシ選手は一人では対応できません。

二人でも怪しくて三人が必要な場合もあります。

そのメッシ選手が常に歩きながら隙を窺っているのです。

サッカーをしたことがある人ならわかると思いますが,歩いている選手をマークするのは難しいのです。

なぜなら自分も歩かなければいけないからです。

みんなは走っているのに自分だけが歩いていると言う行為がどれだけ気持ち悪いか。

これまで粘り強く戦い続けてきたクロアチアは,1番警戒していたメッシ選手のふとした動きにやられてしまいました。

逆に警戒しすぎていたからこそやられたのかもしれません。

失点した以上はよりリスクを冒して攻撃しなければいけなくなったクロアチアは,ますますメッシ選手の餌食になっていきます。

特に3点目のメッシ選手のアシストのシーンは,一人では対応できないことを物語っていますし,メッシ選手はそれをフルに生かしています。

https://www.youtube.com/watch?v=eFEuddYPZk4&t=38s

圧倒的な質の優位。

もしドイツやスペインにこの質の優位が1人でもあれば,日本はもっと苦戦したかもしれませんね。

さあ,メッシ選手の最後のW杯は初戦の敗退と数々の激戦を乗り越えて,ついに決勝までたどり着きました。

ブラジルW杯の忘れ物を取りに来たかのようです。

https://www.youtube.com/watch?v=bJKN9d4JwuQ

有終の美を飾れると良いですが美しさも残酷さもサッカーです。

寝不足はかなり辛いですが,私はリアルタイムにメッシ選手のW杯物語を見届けます。

だって最高に好きな選手ですから(^^)v