トップチームに帯同している長男が,練習で感じていることを話してくれました。
「もう少しでイケる感じなんやけど,そのもう少しがムズイんよなあ。」
これまでユースでプレーしてきた長男は自身の思考を育成にしていました。
だからチャレンジできるし,失敗もできました。
でもトップチームは違うと感じたようです。
どういうことかと言うと,本音では行き切ってやろうかなと思うらしいのですが,失敗したらチームに迷惑をかけるし,自分としても評価を下げるんじゃないかという気持ちがプレーを遅くさせているというのです。
ユースなら自分が何でもやらなきゃいけないという思いで必死にプレーしていれば良かったですが,トップにいると他の選手に任せられるので逆に時間ができてしまって余計なことを考えてしまうそうなのです。
「トップ昇格したいと思うからなんかなあ,なんかいつもの自分と違うんよなあ。」
チームスポーツで個を光らせるには,上手くいけば突き抜けていますが,上手くいかなければ傲慢にもなります。
特にトップチームはもう育成年代ではありません。
自分のプレーで誰かの人生が変わってしまうシビアな世界です。
長男は育成と仕事の差を実感したようです。
私は高校2年生でこのような感覚を味わえるなんて素晴らしいことだと思いました。
私が仕事として明確なプロ意識を芽生えたのなんて,教職について10年目ぐらいです。
それまではただ目の前のことをこなすのに必死で,そうそう誰かのために何て仕事はできませんでした。
だから長男は素直にすごいと思います。
長男にとって最初の目標は仕事としてサッカーをすることです。
それがもう目の前にやってきています。
「たぶん単純に1対1なら相手を抜ける感覚はある。でもサッカーはそれだけじゃないから,いつ抜くのか,どこに抜くのか,抜いた後はどうするのか,それとも抜くことを止めるのか,抜きに行かないのか,色々と考えてしまう。だから,ここで今まで通りの感覚でやれるにはまだ時間がかかると思う。でもあと少しやと思う。」
長男とはよく名選手のスーパープレイ集をYouTubeで観ます。
この話をした後に,名選手の若い頃のプレイ集を観てみました。
するとある事に気がつきました。
どの選手も若々しくて荒々しくてのびのびとプレイしているのです。
きっとチームのベテランが若手を勇気づけていたのだと思います。
そのベテランも若い頃はそうだったのでしょう。
そうやってチームは循環していくのだと思います。
それならば高校2年生の長男がどのようにプレイすればいいのかは明確です。
「安全にプレイすることがいつでもできる。それができない選手がトップでプレイすることは無理だと思う。だからまずは相手が困るプレイ,観ている人がワクワクするプレイを選んでいこう。」
これが私と長男の現在の答えです。
もう少し,あと少し。
焦らずに慌てずに今しかないこの感覚を楽しんでほしいですね。