ユーティリティープレイヤーの価値について綴ります。
現代サッカーでは複数のポジションでプレー出来る選手が求められていると思います。
確かに専門性が高いプロフェッショナルなプレーが出来る選手は魅力的ですし,質の優位で1対1の状況を打開できるチームにとって価値がある選手です。
しかしながら,守備戦術が飛躍的に整理され,分析力も向上した現代サッカーでは,分析されたらプランBが無い限り通用しなくなる可能性があります。
もしプランBが無ければもう試合に出場することすら困難になるでしょう。
なおかつ怪我をしてしまえば終わりです。
私はこのプランBこそユーティリティーだと考えます。
例えばFCバルセロナのフランキー・デ・ヨング選手は,本来はインサイドハーフの選手ですがボランチとセンターバックをこなします。
プランCまであるユーティリティープレイヤーです。
マンチェスターシティーのフィル・フォーデン選手は左右のウイングと左右のインサイドハーフをこなします。
絶対的に専門性の高いプロフェッショナルな選手と複数のプランを使いこなすユーティリティーな選手の組み合わせで守備戦術を攻略する。
このユーティリティープレイヤーの利点は,チーム事情に合わせてポジションを変更できるところと,交代をしないでチーム戦術の変更が出来るところです。
例えばフランキー・デ・ヨング選手ならインサイドハーフとして出場しながらも相手のプレスを回避するために2ボランチの片割れとしてプレーしたり,試合を閉めるためにセンターバック落ちたりできます。
もし交代するとすると,フランキー・デ・ヨング選手に変わる誰かが彼と同等の価値をチームにもたらさなければいけません。
でもそれが容易ではないことは想像できます。
「現代サッカーに必要な選手は何でもできるパーフェクトな選手」
長男が小学校の頃からエコノメソッドを学んできた理由がまさにこれです。
小学校年代に個人戦術を学び,中学校年代にポジション戦術を学び,高校年代にチーム戦術を学ぶ。
この段階的な学びが重要です。
この学びによって,個々の質の優位は大切にしつつも,プランBさらにはプランCでチームの勝利に貢献出来る選手が育つのです。
長男は奈良クラブユースでプレーしていますが,ユースでは主戦場が左のインサイドハーフで,チーム戦術に合わせて左右のウイング,右のインサイドハーフ,ボランチをこなします。
トップに帯同している現在も主戦場は変わりませんが,左右のウイングと右のインサイドハーフ,ボランチ,さらには左右のサイドバックもこなしています。
いったいプランがいくつあるのでしょう。
こんなことが出来るのは,これまでの学びの成果でしかありません。
長男ほど徹底的にエコノメソッドを学んだわけではありませんが,二男も左右のサイドバックと左右のセンターバックをこなしますし,状況によってはボランチもします。
三男は,現在はボランチですが,左のウイングとセンターバックでもプレーします。
育成年代でどれだけのポジションでプレーしてきたか。
それも影響するでしょう。
私は職業としてサッカーをするにしても,生涯スポーツとしてサッカーを楽しみたければ,育成年代から丁寧にサッカーを学ぶことが必須だと思います。
あまりに個性個性と言いすぎてしまうとプレーの幅は偏り,サッカーの楽しみ方も偏ってしまうのではないでしょうか。
好きなことだけをやる。
それも悪くはありませんが,サッカーに関しては, 好きが広がっていくことも大切だと思います。