エコノメソッドでプロサッカー選手を育てるまでのブログ
ちょっといい学校話

彼女の本気

ついに今年度が始まりました。

全国の子どもたちが入学式や始業式を迎え,新しい学校や学年,学級で期待と不安に揺れながら1年をスタートさせました。

 

私は地元で25年の教職員生活を終え,もう二度と教職には戻らないと決意したにもかかわらず,引っ越し先の街であっさり教職に戻りました。

サッカーと生きる。

それはそんなに簡単なことではありませんでした。

家計を支えるために,慣れつくした教職は手っ取り早かったのです。

本当に情けない私の覚悟。

いざ教職に戻るとあの頃に感じていた嫌なストレスはすぐに復活し,気持ちを奮い立たさなければ仕事に行けない日々に戻りました。

 

どこにいても子どもは子どもです。

それはきっと肌の色とか国籍なんて関係ありません。

私は今回の復帰でそのことを確信しました。

ただし地域性や時代背景が子どもに大きく影響を与えることも学びました。

これまでの経験が子どもに伝わらない。

もっと言えば同僚に伝わらない。

私はそんなもどかしさで苦しむことになりました。

それでも子どもの前では意地をはりました。

本気で向き合い,本気で褒め,本気で叱りました。

目的を大切にし,本質を見つめ,相手を思いやることを伝え続けました。

 

卒業式の日。

私は自分の力不足とあきらめの気持ちでいっぱいでした。

子どもたちはきっとこの日のことを美化するでしょう。

それが残念で仕方ありませんでした。

 

春休みのことです。

一人の卒業生が小学校にやってきました。

髪の毛を真っ黒に染めていました。

「やっとアジアンビューテーになったなあ。これからは見せかけじゃなくてあなたの笑顔で勝負やで。」

私がそういうと彼女は照れくさそうにはにかんでいました。

保護者の方も

「名言。」

と言って優しく笑っていました。

 

中学校の3年間は濃密で不安定で爽快で一瞬です。

きっと心が何度も揺れまくると思います。

そのときに今日この日のことを思い出してほしいです。

彼女は大丈夫。

だって本気で自分の人生と向き合えたからです。

私はそんな彼女のことを誇りに思います。