ECLOGA2024の初戦は静岡学園に完敗した奈良クラブユース。
しかしこの完敗で自信を持つことの大切さを再確認した長男は,インターハイチャンピオンの昌平高校と試合が出来る喜びと,昔の仲間と試合が出来る楽しみで,試合開始を今か今かと待ち望んでいました。
この日の試合開始時刻は17時。
酷暑の中,試合をする大会や部活動,クラブがまだまだ多い中で,ECLOGAの関係者は安全に試合が出来ることも配慮してくれています。
クラブユース全国大会も17時と19時に試合を開始していました。
夕立で試合が出来ないという事例も起きましたが,命あってのスポーツですので,賢明な判断だと思います。
奈良クラブユースは昨日と同様に相手2トップに対して3バックでビルドアップする戦術でした。
試合の入りは悪くなかったですが,ハイプレスをあっさり回避されて,早々と失点してしまいました。
それもアシストした選手はアメージングアカデミー出身の仲間です。
いきなり出鼻を挫かれてしまいました。
最近の奈良クラブユースが前半に失点する試合が多いです。
試合の入りにもっと集中力を高めていかないと,絶対に勝たなければいけない試合でやらかしかねません。
その後,すぐに2点目を奪われてしまい,昌平高校がゆとりをもって試合を進められる展開になってしまいました。
しかし,この展開でも昨日と違うことがありました。
それは長男がエゴを出すことをためらっていなかったことです。
試合開始から積極的にボールを引き取り,チームのために時間を作りつつ,積極的にボールを運んで前進しようとしていました。
そして,その姿勢が結果に現れる時が来ました。
3バックの中央の選手がライン間にいた長男に迷いなくロングボールを入れました。
少しハイボールでしたが,長男は難なく胸でコントロールし,2タッチ目で相手ゴール方向にボールを置きました。
長男は迷いなく背後にデスマルケした左ウイングバックの選手にスルーパスを通しました。
エリア1からエリア3までパスはたったの2本です。
長男はそのままボックスまで全力で走り,折り返しのパスを要求しました。
このプレーはエコノメソッドのコンサルでずっと言われていたプレーです。
これまでの長男はパスを出した後,守備のことを考えて自陣で待機することがありました。
しかし,エコノメソッド側は攻撃的なポジションの長男に求めていたのはプレーの連続性とボックスへの侵入でした。
左ウイングバックの選手はゴールラインぎりぎりで長男にパスを折り返しました。
長男はボールに合わせるようにダイレクトでシュートしました。
ボールはゴールキーパーが届かないギリギリのところに転がり,ゴールへと吸い込まれていきました。
一連の流れがまるで教科書のようです。
3列で守備をする昌平高校に対して4列で対抗する奈良クラブユース。
相手センターバックは1トップを気にするがゆえにライン間の長男にプレスがかけれませんでした。
これを静学戦でやりたかった。
ただしこのプレーを実現させたのは選手たちの自信であり,自分のプレーでチームを勝利させたいというエゴです。
たった1試合の敗戦で見事に成長してみせた選手たちには感心します。
私はこのプレーにはもう一つの価値を感じています。
それは立体的にプレー出来たことです。
センターバックからライン間の長男に出したパスはハイボールでした。
つまり数人の頭上を越えたパスです。
平面にパスコースが無くても立体には無限のパスコースが存在します。
それを見つけることが出来る選手達。
これまでの学びの成果を感じます。
そして何よりハイボールを難なく胸でコントロールしてみせた長男の高さを生かしたプレーです。
中盤の選手に背の高さは関係ないという意見があります。
しかし高さがあることで立体的にプレー出来る可能性をチームが持つことは間違いありません。
サッカーは相手が邪魔をしてくるスポーツです。
平面を邪魔されたら立体を使えばいいのです。
スペインサッカーというと平面でのビルドアップをイメージする方が多いと思いますが,相手がハイプレスに来た場合はダイレクトに相手の背後にボールを蹴ることは多々あります。
なぜかというとビルドアップで大切なことは「数的優位」と「有効なスペース」がどこに出来たかを認知することだからです。
もしダイレクトプレーが必要なら迷いなく使えばいいのです。。
ちなみに長男は身長に対してもそれなりの取り組みをしてきました。
栄養バランス,栄養を摂取するタイミング,睡眠,姿勢改善,等。
身長は先天的なものでもあるので必ずしもではないですが,この取り組みによって長男の身長は178㎝の私を超えて180㎝にまで達しました。
もし栄養が偏ったり,睡眠をおろそかにしたりしていたら私以上にはなれなかったと思います。
まさに意図的に取り組んだ成果でもあるのです。
長男はまだ伸びそうな雰囲気があります。
私は勝手に181㎝まで伸びないかなと思っています。
なぜかというとケビン・デ・ブライネ選手が181㎝だからです。
世界的な攻撃的ミッドフィールダーと同じ身長だなんてスケールが大きいですよね。
この日の長男はこれで終わりません。
エゴを見せ続けます。
ローブロックで相手のボックス内侵入を何とか防いでいた奈良クラブユース。
テクニックにたけた昌平高校が仕方なくボールをセンターバックまで下げるシーンがありました。
長男はそのプレーを予測して,果敢に2度追いをしたのです。
昌平高校のセンターバックにボールが届いたとき,すでに長男の鋭いプレスの餌食になっていました。
長男はボールを奪いました。
何とかカバーしたセンターバックと左サイドで1対1になりました。
縦に行くフェイントを入れた長男は相手の股を鮮やかに抜いてみせました。
一気にゴールへと前進した長男はペナルティーエリア外から半身でシュートしました。
ボールはニアのポストに当たり,ファーのポストに向かって転がりました。
私は「入ってしまえ!」と願いましたが,無情にもボールはポストに当たってノーゴール。
詰めた仲間の選手のシュートは相手ゴールキーパーに防がれてしまいましたが,長男のアグレッシブなプレーに会場はどよめきました。
高校2年生初期の頃の長男のエコノメソッドの評価は「攻撃は良いが守備が出来ない選手」でした。
その評価を覆す素晴らしい守備から素晴らしい攻撃でした。
18歳になったばかりの長男の確かな変化を実感できるプレーでした。
さて試合は後半にまたしてもセットプレーから失点し,雷雨の影響でそのまま1対3で終了となりました。
最後まで試合が出来なかったことは残念でしたが,静学戦の時のように何も出来ずに敗戦というわけではなく,メソッドに拘ったことで成果と課題がきちんと出た試合に出来ました。
着替えて戻ってきた長男が教えてくれましたのですが,試合後の寮内で昌平高校の選手達と色々とおしゃべりをしていたそうです。
昌平高校の下部組織でもあるFCラビーダとは過去にインターシティートリムカップイースの決勝で対戦していたので顔馴染みの選手もいます。
また長男が中学校1年生の時に,ループチャレンジという企画でシンガポールのサッカー大会に参加してるのですが,その時のメンバーが昌平高校にいます。
そのことも含めて,試合の振り返りをしたり,懐かしい話で盛り上がったり,雑談をしたりして和気あいあいと過ごしていたそうです。
サッカーを続けていると縁が広がっていきます。
評価とか,競争とか,勝負とか,選出とか,色々とストレスがかかることも多いですが,こうやって高校生らしいほほえましい時間があるのもサッカーの素晴らしいところだと思います。
彼らは高校生。
ただいま青春真っ盛りです。