県1部リーグ開幕
いよいよ県1部リーグが開幕しました。長男にとっては育成年代最後の公式リーグ戦です。結局，プレミアリーグにもプリンスリーグにも所属することは出来ませんでしたが，これは自らが望んだ道であり，入団時に奈良クラブユースをプリンスリーグに昇格させることを最終目標に決めていたので，その実現のための1年になります。
とはいえ，長男にとっては物足りないリーグ戦であることには変わりはありません。相変わらず隣の芝生は青く見えますが，気持ちを奮い立たせて毎週末のリーグ戦へと望みました。
初戦の相手は，奈良クラブユースのビルドアップを研究していて，外切りしてボールを中へと誘導していきました。外側にボールを運びにくくなった奈良クラブユースはグランドを広く使えなくなり，相手のプレスにハマるようになりました。高体連独特の圧に苦しみながらも，何とか勝利して，難しい初戦を乗り越えました。メソッド的にビルドアップを大切にしている奈良クラブユースは常にこのような戦いを強いられます。
そして第2戦は県1部リーグ最大のライバルである奈良育英高校です。この試合の結果によっては今後厳しいリーグ戦になるかもしれない。それほど大切な試合です。
奈良クラブユースは，予想通り高体連ならではのダイレクトプレーとロングスロー，ハイプレスの連続に苦戦を強いられます。奈良クラブユースのCBはアメージング・アカデミー出身の2年生が務めることが多く，戦術理解度は高いですが強度では高3相手には劣ります。そこがより強く狙われました。
前半，FKから失点してしまいます。その後も相手の圧をかいくぐることができず，効果的な攻撃ができないまま，得点を奪えずにハーフタイムを迎えてしまいました。
後半，奈良クラブユースは普段の1-4-3-3から立ち位置を変更し，2トップにして長男をその一角に押し出しました。
するとそれがすぐに結果に現れます。もう一人のFWをターゲットにして自陣からシンプルにロングボールを当てました。彼は3人目で走り出した長男にヘディングで落としました。デスマルケした長男は相手の背後でボールを受けてGKと1対1になりました。長男はボールを叩くようにシュートしました。飛び込んだGKの上をボールは超えていき，ボールはゴールへと吸い込まれていきました。相手によって戦い方を変更できるのはこれまでの学びの成果です。奈良クラブユースにはプランBを実行できる賢さが備わっているのでした。足らないのは普段の強度です。
これで1対1です。試合を振り出しに戻しましたが，相手はよりダイレクトプレーを増やし，次々とフィフティー・フィフティーのボールをゴール前に放り込んできました。奈良クラブユースがサイドラインにクリアしてもロングスローで放り込んできます。近頃，プレイングタイムの短さが問題になっていますが，まさにその理由を象徴するような試合展開になりました。
試合も終盤になりました。圧に負けそうな雰囲気が漂い始めました。ぎりぎりで奈良クラブユースがクリアしたボールを長男が自陣で拾いました。長男は一気にギアを上げて，ボールを相手ゴールに向かって運び始めました。そのまま相手3人を振り切り，もう一人のFWにパスを出しました。長男はレイオフを狙ってさらに走り続けます。長男のドリブルとランニングで相手ゴール前に数的優位が生まれました。ボールは別の選手に繋がりました。相手GKと1対1になりました。冷静にシュートしたボールは相手ゴールに吸い込まれていきました。
歓喜に沸く奈良クラブユース。コーナーフラッグ付近で仲間同士がもみくちゃになって喜んでいます。それほど，この試合の難しさを実感していたのでしょう。
残り時間はもうほとんどありません。最後までダイレクトプレーは続きましたが，奈良クラブユースは何とかしのぎ切りました。
試合後，応援に駆け付けた保護者の前で奈良クラブ恒例のラインダンスを披露した選手達。誰もが安堵した表情を見せて足を高く上げて踊っていました。
プリンスリーグやプレミアリーグなら毎試合毎試合このような熱い試合が出来るのです。しかし，ここは県1部リーグです。この試合を最後にしばらくの間は強度差のある試合が続くことになりました。
これではモチベーションの維持が難しいのですが，残念ながら長男は別の試練と向き合うことになるのでした。
次回は「2種登録と怪我」です。
