楽になりたい
私は当時の監督に現役を退くことを伝えました。
もう心がついてきていないことはかなり前からわかっていました。
「ボロボロになるまでやりたい。」
そう思って現役を続けていましたが,東海リーグ昇格という節目にやめるのは悪くないと自分に言い聞かせました。
でも本当はチームが重かっただけなのです。
楽になりたい。
これが本音です。
サッカーが無い日常のむなしさ
初の東海リーグ。
新たなステージにチャレンジするチームを横目に,私はサッカーが日常にない生活を始めました。
楽になるはずでした。でも,それは間違いでした。
社会人になってからサッカーのために時間を工夫する生活を10年以上も続けていました。
すると何もない夜に物足りなさを感じるようになりました。
自分から誰にも相談せずに引退しておいて勝手ですが,またサッカーがしたいと言う気持ちがすぐに沸き上がってきました。
だから何かにマンネリ化したり楽しさを見失ったりしたときは,思い切ってそこから離れることをお勧めします。
すると,自分にとって何が大切かに気づくことができます。
私にとっては「サッカー」がまさにそれでした。
あっという間の現役復帰
チームはこれまでのチーム名と変更していました。私にとっては完全に別のチームになったという印象でした。
私は監督に現役復帰の意志を伝える電話をしました。
監督からは「お前が仲間を信じてない。もっと仲間を信じろ。」と言われました。
私はどこかで「自分だけが苦しい,自分だけが大変だ。」と思いすぎていたのかもしれません。
あの岐阜の街を後輩と走った夕暮れをふと思い出しました。
彼もそんな私に気をかけて声をかけてくれたのかもしれない。
だから今でも大切な思い出としてその時の光景が残っているのは,人の温かさに触れたからなのでしょう。
感謝です。
そうして,私は30代半ばにして人生初の東海リーグ所属の選手としてプレーすることを決めました。