映画「GO」
長男と「GO」という映画を観ました。
この映画は,2000年に講談社により発行された金城一紀さん作の小説が原作で,2001年に映画で公開された作品は日本国内で数多くの映画賞を受賞しています。
あらすじは以下の通りです。
在日韓国人の杉原は、日本の普通高校に通う3年生。父親に叩き込まれたボクシングで悪友たちとケンカや悪さに明け暮れる日々を送っている。朝鮮学校時代は社会のクズとして警察にも煙たがれる存在だった。ある日、パーティで桜井という風変わりな少女と出会い、ぎこちないデートを重ねながら少しずつお互いの気持ちを近づけていく。そんな時、唯一の尊敬できる友人であったジョンイル(正一)が、些細な誤解から日本人高校生に刺されて命を落とす。親友を失ったショックに愕然としながらも、同胞の敵討ちに向かう仲間には賛同できない杉原は桜井に救いを求め、勇気を振り絞って自分が在日であることを告白する。
(Wikipedelia参照)
恥ずかしながら初めて観ました。
窪塚洋介さんや柴咲コウさんが好演されていて心が揺れる素敵な作品でした。
長男は,小学校のころにスペインやインド,シンガポールにサッカーで遠征をしました。
アメージングアカデミー時代には日本国籍ではない仲間と寮生活をしました。
だから外国籍の仲間に対して抵抗というものはありません。
「サッカーボールがあればだれでも仲間になれる。」
そんな感覚です。
しかし,自分はそれでいいのですが,相手はそれでいいのでしょうか?
長男は,そんなことを深く考えてきたことは無いと思います。
そこで今回のブログでは私が経験した外国籍の子のことを綴ります。
Aさんの授業
Aさんは両親が日系ブラジル人でした。
生まれが日本なのでもはや日本語のほうが母国語のような感覚です。
Aさんの名前にはミドルネームがあります。
でも,このミドルネームで呼ばれることはほとんどありません。
私はAさんの作文で授業をしました。
Aさんには年が離れたお姉さんがいます。
そのお姉さんが大学進学のために親元を離れるときの寂しさを作文で綴っています。
Aさんは活発ですが,自分よりも強い者に従ってしまうところがあり,そのストレスで自分が強く出られる相手に対してきつく接してしまう時がありました。
AさんやAさんのご両親と話していると色々な発見があり,私はもっとAさんのことを学級の仲間に知ってもらうことが大事だと思いました。
Aさんは自分の作文を何度も推敲し,ご両親もAさんのために手紙を書いてくれました。
授業では,Aさんは堂々と作文を読み,学級の仲間もAさんに寄り添って自分のことを語ることが出来ました。
子どもはこのような機会があれば,相手に寄り添って考えることが出来ます。
問題は「知らないこと」「知ろうとしないこと」なのです。
サプライズでご両親がAさんのお姉さんの手紙を用意していてくれてAさんは感激をしました。
Aさんと家族の成長
この授業を機にAさんは自分に少しだけ自信を持ちました。
ブラジルのことも楽しそうに語るようになりました。
Aさんの成長を実感した出来事があります。
これまでAさんは強いものに従ってしまうところがありました。
そのAさんにとって強い者であったBさんが病気で入院した時のことです。
AさんはBさんに「Bさんがいないとつまらない。」という励ましの手紙を書いたのです。
病室で手紙を受け取ったBさんはとても嬉しそうでした。
さらにAさんの成長は家庭にも影響します。
Aさんのお父さんが,Aさんが所属していたサッカーチームのパパコーチに就任したのです。
さすがサッカー大国ブラジル。
Aさんもサッカーが好きでしたが,お父さんもサッカーが好きで,Aさんのために一歩踏み出してくれたのです。
Aさんのお父さんは,グランドで会うたびに元気よく笑顔で「先生!」と声をかけてくれました。
Aは教え子
Aさんは,高校進学と共にご両親の仕事の都合で県外に引っ越しました。
1度だけ小学校に遊びに来てくれましたが,素敵な笑顔の高校生になっていました。
これからのAさんは,映画「GO」のように様々な理由で心が揺れることがあると思います。
映画では
「俺は何人だ。俺は何者なんだ。」
と主人公が叫びました。
私はAさんにはっきりと言えます。
Aさんは「私の教え子」です。