ずっと観たかった映画「あの頃」を観ました。
なぜかというと,映画に登場する人物が,私の高校時代のサッカー部の先輩がモデルになっているからです。
私は2021年に映画化されたということも知りませんでしたし,そもそも映画化されるような人物だったということにも驚きました。
この映画についてはWikipedeliaを参照すると以下の通りです。
『あの頃。男子かしまし物語』(あのころ。だんしかしましものがたり)は劔樹人さんによるエッセイです。2014年5月22日にイースト・プレスから刊行されました。2000年代初頭から東京に出てくるまでの数年間を過ごした大阪市阿倍野区での日々を描いた著者である劔さんの自伝的コミックエッセイで、アイドルグループに夢中になっていた青春を仲間たちと謳歌しつつも様々な困難に直面し少しずつ大人になっていく姿を描いています。2021年に映画版が公開されました。
この映画版が「あの頃」であり,主人公の劔さんを松阪桃李さんが演じています。
https://phantom-film.com/anokoro/
その仲間の一人が映画の中の「コズミン」であり,私のサッカー部の先輩の「コッツン」なのです。
映画を観た方の感想はお任せしますが,まあ私の記憶ではあんな感じの先輩です。
年齢は一つ上なんですが,サッカーをしている時の思い出より,面白いことをしてみんなを笑わせているときの思い出の方が明らかに多いです。
先輩面しない人なので私は「コッツン」先輩と呼んでいました。
「コッツン」先輩が卒業してからは,先輩がどこで何をしているのか,交流が無かったので全く知らない状態でした。
高校を卒業して20年以上経っていました。
そんなとき,ふいに「コッツン」先輩が病気だと知ります。
私は高校サッカー部の仲間と一緒に先輩が入院している大阪の病院に見舞いに行きました。
病室に入ると,私たちが知っている「あの頃」の先輩ではなく,病で痩せこけた先輩(あの頃も痩せていましたが…。)がちょこんとベッドに座っていました。
医者になった連れにはすでに「末期」だとは聞いていたのですが,あまりにも弱弱しく見えました。
20年以上経っていますので,どんな言葉をかけていいのか分かりませんでしたが,「お前,わたるか?」と先輩から声をかけてくれました。
相変わらず相手を気遣う人です。
一緒に行った連れも,少しずつあの頃に時間を戻している感じでした。
話すのも難しい状況にもかかわらず,先輩は後輩の私たちに色々と話をしてくれました。
その話の中に
「俺は「モー娘。」にはまった。カリスマDJをしてたんや。」
という一言があったのです。
その時は「ほんまかいな。相変わらず面白いことを言う人やなあ。」と思う程度でした。
でも,それはほんまでした。
「コッツン」先輩はやっぱり面白い人でした。
その後,連れの一人が先輩のために離れ離れになっていた高校サッカー部をつなぐ動き始めました。
みんなの家を回って寄せ書きを集め出したのです。
「コッツン」先輩が一度は切れかけた縁を再びつなぎ始めるきっかけをくれました。
手作りのフォトブックには励ましのコメントを書きました。
それも「コッツン」先輩のためにみんなで明るく面白く書きました。
私は高校時代のユニホームだったオランダ代表モデルを贈りました。
だって「コッツン」先輩は正真正銘の元サッカー部なんですから。
このオレンジのユニホームはこの時のために保管していたのかもしれません。
映画の中での「コズミン」を「コッツン」として観ることが出来る私たちは幸せです。
「コッツン」先輩は映画の中で「コズミン」として生きていて,いつまでもしょうもないことを言ってみんなを笑わせてくれます。
私はちょっとだけ涙が出ました。