二つ上の学年
長男が4年生の時,二つ上の学年の試合に出ていました。
二つ上の学年は長男が1年生の時からの付き合いでした。
個性的な学年でサッカーが大好きな子どもがそろっていました。
細かいテクニックが得意な子。
献身的なプレーができる子。
身長が高い子。
縦に速い子。
ちゃらい子(笑)
しかし,三重県内での結果は望むようなものではなく,良くて県ベスト16で,子どもたちだけでなく親も残念な気持ちでした。
長男と仲が良かった子の移籍もありました。
最後の記念大会
そんなモヤモヤを抱えたなか,卒団を控えた最後の記念大会を任されることになりました。
私はずっと選手の配置に問題があると思っていましたので,「この仲間とサッカー出来て良かった。」と思ってもらえるように戦術的に取り組むことにしました。
これまではオーソドックスな1-3-3-1と言う配置でした。
細かいテクニックのある子がチームのキャプテンでもあるので,中盤の真ん中に配置されていました。
センターバックタイプの子がいないので,ちゃらい子がやったり,背の高い子がやったりしていましたが,しっくりは来ていませんでした。
長男は4年生でしたがセンターフォワードに入っていましたが,二つ上の学年なのでフィジカル的にきつい場面も多くありました。
個性を生かす配置変更
そこで私はそれぞれの良さを発揮するためにオーソドックスを捨て,1-2-1-3-1という配置に変更しました。
ディフェンスラインの2には背が高い子と献身的な子が入りました。
この二人はチームプレーができることと,もともとサイドバックだったので対人に強くボールを縦に運ぶことができます。
ボランチの1には先ほどのちゃらい子がはいります。
この子は発言はちゃらいですが,実はサッカーIQが高くスペースを埋めたり,ボールをさばいたりすることができます。
でもセンターバックをするほどディフェンシブではなく,センターハーフをするほどリーダーシップもありません。
1に入ることでディフェンスラインから一つ前に出れるので,IQの高さを自分の判断で発揮できると思いました。
これまでの中盤の真ん中にいた細かいテクニックのあるキャプテンは中盤の3の左側に配置しました。
真ん中にいたときの彼は細かいテクニックを生かしてプレーするがゆえに,ボールの循環によどみを生んでいました。
身体も小さかったのでフィジカルで負けてしまったり,ボールを相手につつかれてカウンターを受けてしまったりしていました。
サイドかつウイング気味のプレーが出来る場所に配置したことで,彼の細かいテクニックがより解放され,チームにとって有効な時間を生み出すことになると思ったのです。
ただし,上下運動が多いのでスタミナは必要ですが,そこは6年生なので何とかしてもらいます。
もう片方のウイングには当然縦に速い子を配置しました。
長男は中盤の3の中央です。
もともと点取り屋タイプではないので6年生相手ではこの場所が最適だと思います。
MVPは私??
さて大会の結果はどうだったでしょうか。
この大会には三重県のベスト8以上の実績があるチームが集まっていました。
実質三重県選手権です。
実績では各上の相手に,見事1勝3引き分けでした。
特にこの年の三重県チャンピオン相手には2点差を追いつきました。
その試合は後半から1-2-3-2に切り替えて長男をFWに押し出しました。
得点を獲ろうという意志を持ったチームは見事に長男の得点で2点差を追いついたのでした。
大会終了後,チームでは「この日のMVP」を毎回決めていたのですが,キャプテンがコーチである私をMVPに指名したのでした。
それぐらい子どもたちにとって嬉しい結果だったのです。
これまで望む結果が出なくて悔しかった思いを晴らすことができ,自分たちの実力が三重県内で劣っていないことを証明できた喜びが,このキャプテンの言葉でした。
コーチの役目
選手の個性が生きるように配置するのはコーチの役目です。
これまでの子どもたちは1-3-3-1の中で自分の良さを出そうとしていましたが,そもそも1-3-3-1が正解ではありません。
子どもたちの個性によって選手の配置は変えることができるし,仲間や相手によって柔軟な戦い方をするのがサッカーだと言うことです。
1-2-1-3-1は5レーンで考えると全てのエリアに人を配置できているので攻撃的であってもバランスはとれているのです。
私はこの学年に自信をもってジュニアユース年代に行ってほしいと思っていたので,その目標は無事に達成できてホッとしました。
この学年は現在高校3年生です。
育成年代の終盤です。
サッカーの本質を理解してコーチと共にサッカーライフを満喫していて欲しいなと思います。