実家から電話がありました。
三男が地元のジュニアチームの練習で,
「チームの雰囲気を悪くするからもう帰れ。」
とコーチに言われたので,
「帰ります。」
と言って帰ってきたというのです。
そのコーチからラインの文章で事後報告があったらしく,三男に事実を確認することにしました。
三男は6年生(6人ぐらい)対1年から5年(20人ぐらい)のゲームをしていたときに,年下相手に失点して負けていることや相手の人数の多さにずるさを感じていら立ち,たらたらしているように見えた仲間の6年生にきつめの言葉を言ったらしいのです。
その言葉も三男からしたら,そんなにきつい言葉だとは思っていませんでした。
さらにその後の練習で,もたもたしていた5年生に対してもきつめの言葉を言ったらしく,ついにコーチに「帰れ」と言われたそうで,ずっといら立っていた三男は「もういいわ。」という気持ちになったというのです。
三男に,
「帰ると言った時に,コーチは何て言ってたん?」
と聞くと,
「さいなら。」
と言ってたと答えました。
実は三男は昔からヤジが多く,ノリだけで生活しているところがあります。
また,何かに懸命に打ち込んでいる仲間が少ないこともあり,三男が生活する環境は「一生懸命さ」に欠けています。
もし三男がサッカーが大好きで,全力で練習しているのであれば,そもそもこのような出来事にならなかったと思うのですが,適当な練習態度からくる仲間へのきつい言葉がコーチの機嫌を損ねたのでしょう。
おそらくコーチも三男の態度に溜まっていたのだと思います。
三男に,
「自分がしたことで何が良くて,何が悪いの?」
と聞くと,
「勝ちたくてプレーしていたことは良かった。コーチに帰れと言われてちゃんと話をしないで帰って来たことは悪かった。」
と答えました。
私は教師時代に子ども達のトラブルがあると,必ず関係者から話を徹底的に聞いて事実の確認をしていました。
トラブルで起きた行為は良くないこともありますが,その行為をしたくなるほど感情が揺れたこと自体は悪くないのです。
だから事実が明確になれば,何が良くて何が悪いかが整理できますし,当事者の想いにも寄り添えるからです。
今回の出来事は,コーチも「帰れ」という前にきちんと話を聞いてあげてほしかったと思いますが,ジュニアチームは学校ではないのでそこまでは求められないのかなとも思います。
三男には,
「悪いと思ってないことを謝っても相手には伝わらない。今,パパと話をして気持ちの整理は出来たやろ。これからどうするか決めな。」
と伝えました。
三男はサッカーをすることそのものにも悩みがあったので,このままジュニアチームを辞めるという選択肢もありましたが,こんなことをしてしまってどうしていいのか分からない様子でした。
私は,
「嫌かもしれやんけど,このまま辞めたらダサいよな。仲間にも失礼やし,自分が悪いと思っているところがあるんやったら,そこだけはきちんと謝らないかんよな。まあ,こんなことをした場所に戻るのは勇気いるけどな。でもダサいまま生きるよりましちゃうか。」
と伝えました。
三男は,普段の学校生活や友だち関係の中でも,このようなダサいことをしているのでしょうね。
だから自分のダサさに気づいていない。
でも私と話したことで身に染みたようでした。
その後,しばらくして長男に電話をかけてきました。
三男は「長男ならどうするのか?」とか「山梨に行くと決めたときはどんな気分だったのか?」とか色々と質問をしてきました。
ケンカ仲間の二男に聞かないところが面白いですが,三男にとって小学校で家を出た長男は偉大なのでしょう。
長男が自分と同じ小6のときにどうしてそんな行動が出来たのかを知りたくなったのでしょうね。
私は,嫌なことから逃げてばかりいる三男の心境の変化が,とても嬉しく感じていました。
それは長男や二男も感じていました。
「自分の人生やから絶対に人に矢印を向けたらいかん。それは人のせいにしているということになる。自分に矢印を向けたら自分のこととして受け止められるし,誰かを傷つけることもない。自分の人生は自分のものやからな。だから最後は三男が決めたらいい。でも今のお前は長男や二男と比べたらかなりダサイマンやで。嫌なことから逃げてばかりで何にも挑戦をしやん。パパは一生懸命頑張れる環境に飛び込んでほしいな。」
と三男に伝えてこの日の電話は終わりました。
次の日,三男は勇気を出してジュニアチームの練習に行きました。
練習後に感想を聞きました。
三男は,
「コーチには話をしないで帰ってすみませんでしたと言った。コーチは自分が悪いと分かったかと言ってきた。コーチとはそれで終わり。仲間にも謝った。仲間は良いよと言ってくれた。」
と答えました。
私は,
「行って良かったか?」
と聞きました。
三男は,
「行って良かった。行かへんだら変な感じになってた。」
と答えました。
嫌なことから逃げない勇気を学んだ三男。
少しだけダサイマンを抜け出せたかな。
次は三男のサッカーです。
私は絶対に辞めてほしくないです。
まだやり切ってもいないのに,サッカーの楽しさを満喫してもいないのに辞めたら,それこそ中途半端です。
エコノメソッド関西エリートに選ばれるまで頑張ってきたサッカーです。
サッカーからも逃げない勇気を持ってほしいと願う親心は相手に矢印を向けているのかなあ。
三男,サッカーを続けたいと言ってくれえ!!